オーステナイト化 [a23]
鉄鋼の組織がオーステナイトに変態する温度に加熱することをオーステナイト化するといいます。
しばしばオーステナイト化温度は「焼入れ温度」という意味でも用いられています。
例えば、炭素鋼などを加熱すると、結晶構造が面心立方晶に変わるのですが、その状態に加熱して、速い速度で冷却すると、硬化しますし(これが焼入れです)、ごくゆっくり冷やすと、柔らかい鋼になります(これが焼なましです)。
焼入れをする際など、加熱によってオーステナイト状態にすることを「オーステナイト化」と言います。
通常、それぞれの鋼種のJIS規格やメーカーカタログなどには、適正なオーステナイト状態になるように標準焼入れ温度が示されています。
プロテリアル(旧:日立金属)のカタログより
この焼入れ温度は、焼入れをした時の硬さなどの機械的性質で決められます。焼入れ時の加熱温度が低すぎると、オーステナイト化が不十分になって充分な硬さが出ませんし、高すぎると結晶粒が粗くなって機械的性質(特にじん性)が低下します。
しばしば、硬さが出にくいとか耐摩耗性を高める・・・等の理由で、高めの焼入れ温度を指定して焼入れする場合があるようですが、あまりすすめられる考え方ではありません。
どのような場合も、焼入れ温度を高くして結晶粒が大きくなることは好ましいものではないと考えています。
PR(来歴)H30.11 文章見直し R2.4 CSS変更 最終確認R6.1月