トルースタイト        [t20]

troostite:トゥルースタイト、ツルースタイト などとも表記されます。

マルテンサイトを焼戻しした時に生じるフェライトとセメンタイトの微細組織で、焼入れ後の焼戻しで温度を上げていくと、トルースタイト→ソルバイト→パーライトと変化します。

恒温変態による焼入れ時の処理でも生じます。



トルースタイトの組織例 山本科学工具研究社 ソルバイトの組織例  同社

山本科学工具研究社の組織写真の一部を引用しています。
左がトルースタイト、右がソルバイトと表示されています。
いずれも金属顕微鏡組織では判別できないくらいに微小なフェライトと炭化物の層状組織とされており、トルースタイトのほうが緻密な組織です。

焼入れ時に共析鋼を水冷するとマルテンサイトになりますが、徐々に冷却速度を遅くして冷却すると、マルテンサイトにはならないで、トルースタイト→ソルバイトになり、さらに徐冷するとパーライトになると説明されます。
組織変化とともに、層状組織の層間の距離が広がるに連れて、次第に硬さが低下していきます。硬さは トルースタイト>ソルバイト>パーライトになります。

これらの組織については、明確な分類境界はありません。(どの状態がトルースタイトであるということも適当で決まっていないのですが、熱処理技能士のテストでは、上記の写真によって区別できなければなりません)

同様の組織でベイナイトというものがあるのですが、これもやはりマルテンサイトに近いトルースタイト状の組織といえます。

【独り言】このベーナイトも、高いじん性を持つ・・・などと説明される場合も多いのですが、それを示す詳しい資料もあまり見たことがないので、試験用に覚えるのであれば、組織写真を丸暗記するしか手がないかもしれません。

品物が大きくなると、通常の焼入れでは、すべてがマルテンサイトになるように熱処理することはできませんが、複合組織を作るための恒温処理や変態制御は面白そうな領域の未開発分野です。硬さとじん性を兼ね備えた状態にすることなどで、熱処理によって新しい性質を持った新材料ができる可能性があるという内容ですが、現在の熱処理は標準化することが仕事のようになってしまって、面白みのないものになっていく傾向があるので、もったいない気がしています。



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