ソルバイト [s36]
マルテンサイトを焼戻しした時に生じる組織で、セメンタイトとフェライトの微細な混合組織をいいます。
これはパーライトの一種で、さらに微細な組織のものは、トルースタイトと呼ばれます。
焼入れ時に恒温熱処理(オーステンパー)を行うことでもこれらパーライトの微細組織が得られます。
炭素鋼などを焼入れしてマルテンサイト状態にした鋼を焼戻し温度を上げていくと、250℃程度以上でセメンタイト(炭化物の1種:Fe3C)が析出し、トルースタイトと呼ばれる微細な層状組織になります。
さらに焼戻し温度を高めて500℃程度以上になると微細組織が成長して次第に硬さが低下してソルバイトと呼ばれる組織になる・・・というように説明されます。
両者の境界(区分け)は特になく、イメージ的な感じで表現されているといえるでしょう。
焼入れの際に大きなパーライトが出ないように一定の温度に保持して恒温変態させる(これは、オーステンパーという)と、その保持温度によって組織の違った状態の熱処理が可能になります。
PR温度の高い側ではトルースタイトに、マルテンサイト化温度に近づいて低い温度で保持するとソルバイト組織になります。
これらの違いも厳密なものではなく、説明もイメージ的なものです。
これは、山本化学工具研究社様の組織写真を引用しています。
左がトルースタイト、右がソルバイト組織で、いずれも非常に微細なパーライトと言えますが、それがどちらになるかという境界を顕微鏡で判定するのもむずかしいのですが、左のように、微細な組織になるにつれて硬さが高くなっていますので、それで比較する場合もあります。
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