深冷処理(しんれいしょり) [s23]
サブゼロ処理 、クライオ処理などを含めた言い方で、冷媒(液化炭酸ガスや液体窒素など)を用いて、0℃以下に品物を冷やす熱処理をいいます。
サブゼロ処理は、一般的には液化炭酸ガスやドライアイスを使う処理をいい、それ以下の温度に処理するために、液化窒素ガスを使って-100℃以下に冷やす処理をクライオ処理や超サブゼロ処理と呼んで区別することが多いようです。
それの主な目的は、サブゼロ処理では、経年変化の軽減、焼入れ硬さの上昇などですが、クライオ処理では、寿命向上などを目的に実施されている場合もあります。
一般的には、品物を0℃以下に冷やして、焼入れ組織を改善するのが目的で、その方法としては、①電気冷蔵庫(~-80℃) ②氷と食塩(~-25℃) ③液化炭酸ガス(~-75℃) ④液化窒素ガス(~-180℃)などで焼入れ直後の品物を冷却します。
もちろん、極低温にできる液化アルゴンガスなども使用できますが、高価なので、通常の熱処理では使用されていません。
この、液化炭酸ガスやドライアイスを用いて-80℃程度に冷やすサブゼロ処理は、焼入れ直後に0℃以下に冷やすことで、未変態のオーステナイトをマルテンサイトなどに変化せて、 (1)硬さの上昇 (2)経年変化の防止 する目的のために行なわれることが多いようです。
これによって製品の長寿命化につながるために行われています。
ただ、この目的では、これらの処理は焼入れ直後に行う必要があり、焼戻し後ではその効果が薄れます。
しかし、焼戻しをしてからでは効果が低くなるものの、少し大きな品物を焼入れ直後に急冷すると焼割れを起こす可能性があるので、150℃程度の焼戻しをしてから0℃以下に下げる方法でサブゼロい処理をすることもあります。
もちろんこの方法では、焼割れに対する安全性は高まりますが、サブゼロの効果は小さくなります。
クライオ処理
-100℃までのサブゼロ処理に対して、品物を-100℃以下にする処理は「クライオ処理」と呼ばれます。
これには液体窒素を利用して-150℃以下に品物の温度を下げる処理ですが、これは、通常の熱処理(焼入れ・焼戻し)が終わった製品でも耐摩耗性や寿命の向上などに効果があると宣伝をされているものもあります。
しかし、クライオ処理による効果や変化などについて、様々な研究や検証などが行われているものの、それらの有効性や効果はよくわかっていない状況です。
また、WEBなどに、クライオ処理をすることで音響効果が良くなったり、電気的特性が変わる … という記事などもみられます。
これについても、感覚的な評価がほとんどで、学術的な理由や継続的な効果などもよくわかっていません。
(このページの内容はクライオ処理の項などにもあります)
(来歴)R2.2 見直し R2.4 CSS変更 確認R7.4月