熱処理用語の解説

矯正 (きょうせい)    [k29]

熱処理などで出た歪み(曲がり)を除去することをいい、ロールなどで冷間矯正するものや、熱を加えながら外力を加える場合など様々な方法が行われています。

常温で実施する丸棒や板材の矯正(曲り取り)では、硬さが350HB程度のものまではプレスやロールなどを用いて塑性変形を加えて行います。

それ以上の硬さのものは常温で外力を加えるには大きなパワーが必要になりますし、割れなどの問題が出て危険なために、矯正作業は極端に難しくなるので、「矯正できない」という場合もしばしば出てきます。

高い硬さの品物の矯正は、焼入れ冷却途中の未変態の状態(焼入れ硬化し始める前)で行う場合と焼戻し時の組織変態を利用して行うものがあり、治具や金型を利用して行う前者を「プレスクエンチ」、後者を「プレステンパー」と呼んでいます。

このプレスクエンチは焼入れ硬化していない状態でプレスや金型で固定する方法で、プレステンパーは、治具等で品物を固定して焼戻ししながら矯正する方法です。

プレステンパーは、1回目の焼戻し時に行うことが効果的です。しかし、どんな形状のものでも行うことができるものではなく、金型などで締め付けられる形状に限られますし、焼戻し温度を高くしなければならないための制約も出てきます。

昭和年代には熱処理の熟練工(名工)が多くいて、様々な方法で矯正作業が実施されていたのですが、特に高硬度材の矯正は危険かつ困難で、処理費用も高額になるために、現状では、矯正作業を避ける傾向にあります。

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このようなこともあって、矯正については、熱処理を依頼する側も熱処理する側にも悩ましい問題があります。

一品一様の一般熱処理では、品物の形状が多様なために、変形の予想も立てにくいなどで対策が取りにくいために、熱処理費用をかけるか、仕上げシロを多くして、機械加工で修正するか・・・などの選択をしなければならないことも多々あります。

もちろん、熱処理費用をかけても、熱処理の変形を完全に無くすることはできません。


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(来歴)R1.12 見直し  R2.4 CSS変更   最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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