熱処理用語の解説

プレスクエンチ        [h29]

焼入れの際に、金型などで固定して、変形などを抑制する焼入れ方法をいいます。

プレス焼入れ、金型焼入れなども同じ意味合いです。

鋼を焼入れ温度から急冷するとマルテンサイトという硬い組織になって硬化しますが、Ms点(マルテンサイトが生じ始める温度)までの鋼は柔らかい状態のままなので、小さな力で変形が可能です。

そのために、Ms温度以上の温度で外力を加えて変形を修正します。

柔らかい状態で品物を金型などで拘束すると、かんたんに金型形状に沿いますので、一般熱処理では、通常は平板を押し付けて変形を抑制するという方法が取られます。


薄い丸鋸などの、ロットがまとまっている品物の場合には、ライン化したり、専用の設備で焼入れ過程で加圧したり拘束したりする方法で熱処理が行われている場合も多いのですが、一般熱処理では金型費の問題や金型の温度管理などがネックになって、複雑な品物や焼入れ性の低い鋼種ではこれを適用することが難しい場合が多いようです。

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これと似た方法で、「ダイクエンチ」という言葉があります。

この言葉はDie(金型)+Quench(焼入れ)の造語で、加熱して赤熱した鋼板を金型で成形すると同時に冷却して焼入れする方法で、ホットスタンプ、ホットフォーム、ホットプレス・・・などの呼び方もあります。

基本的には、後が柔らかい状態で整形して、その後に焼入れることで、整形も簡単で、残留応力も少ない状態になるために、自動車外装部品などに応用されています。


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(来歴)H30.11 文章見直し   R2.4 CSS変更   最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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