プレステンパー        [h30]

「プレス焼戻し」や「金型焼戻し」ともいいます。
焼戻しの際に、金型や治具などで矯正しながら、又は固定して焼き戻しする方法をいいます。

矯正のタイミングとしては、焼入れ時の温度降下時に品物を拘束して曲がりを出さないようにするのが効果的ですので、焼入れ完了までに品物を拘束して、そのまま治具とともに焼戻しします。

焼入れの際に、赤熱状態から品物を拘束したままで冷却することを「プレスクエンチ」「金型焼入れ」といいますが、プレステンパーとの違いは、特に厳密ではありません。


いったん焼入れによって硬化してしまうと、硬い品物の曲り取りは、常温でプレスなどを用いて行うことは困難です。

そのために、金型や治具に品物を固定して焼戻しの際の組織変化を利用して温度を上げながら行うのを「プレステンパー」といいます。

このプレステンパーによる矯正は、組織変化の大きい1回目の焼戻しで行うようにします。

さらに、治具は品物に対してかなり大きい丈夫なものが必要になります。

この作業は熟練を要するもので、1回のプレステンパーで矯正できない場合もあるので、焼入れ性の良い鋼種では、矯正を行うタイミングは焼入れ途中に品物を拘束するのを併用する場合もあります。

焼入れ冷却中のMs点以上の温度では、鋼が硬化していないので柔らかく、少ない負荷で矯正が可能です。

ただし、近年の熱処理炉は自動化されているため、このような焼入れ中の作業は困難ですが、治具や焼入れ装置を考える場合にはこれを利用するのが効果的であることを知っておくといいでしょう。

たとえば、焼入れの途中で、品物の温度がMs点直上までであれば硬化していないので、例えば、油冷中に途中で引き上げて品物をプレスなどで加圧して矯正して、その後に治具を用いて拘束して冷却するなどの方法で曲りが出ないようにします。

これは、プレスクエンチともいえるのですが、言葉のニュアンスとしては、この操作はMs点(焼きが入り始める温度)の直上から常温までの温度間で行うもので、一般にプレスクエンチというと、もっと高い温度(例えば、赤熱状態)から品物を拘束して矯正することを指している感じ・・・という程度の表現の違いです。

【矯正は危険で熟練がいる作業です】
焼入れで品物が硬化している場合は、単純な形状であっても、おおむね30HRC(45HS)程度以上になると、プレスで外力を与えて行う矯正はできません。

また、それ以上の硬さのものでは、外力を加えると、割れの危険性があるので、焼戻しの温度上昇に応じて増し締めしていくなど方法で徐々に加圧する方法を取ります。これは、経験が必要な作業になります。

1回目の焼戻しの時点で行うのが効果的ですが、そのタイミングを逃すと、かなり高い温度に焼戻し温度を上げないと矯正が難しくなります。そうすると、焼戻し温度の上昇で硬さが低下することは避けられません。



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