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介在物(かいざいぶつ)      [k03]

非金属介在物」のことですが、慣用的な言い方で、この非金属介在物を「介在物」という人が多いようです。

この非金属介在物は、一般的には、少ないほうが鋼材の品位は高いとされています。

現在では、多くの鋼種が高度な製鋼法によって製造されるようになっていますので、非常に非金属介在物か少ない、高品質なものになっていますので、非金属介在物が多いことによる品質の低下を懸念することも少なくなっています。

それを評価する「清浄度」という用語も使われます。

非金属介在物とは、鉄鋼などの内部にある酸化物や硫化物などの非金属物質をいいます。

一般的にはこれらの非金属介在物は鉄鋼の組織中に溶け込まないために、破壊の起点になったり、衝撃じん性を低下させるなどで、製品となってからの事故や寿命低下につながる可能性もあるので、極力減らすことが要求されます。

また、完全に除去されない場合でも、鋼中に小さく均一に分散していることが望ましいとされており、昭和年代では、鋼材の品位も低いものがあり、これらの定義や分布などについて詳しく規定するなどをしていましたが、現在では、製鋼法や鋳造法の技術向上で、特殊な例を除いて、汎用鋼(量産鋼)ではほとんどそれが問題になることはなくなっています。

もちろん、「快削鋼」のように、硫黄などを添加して、さらにその非金属介在物をうまく分散させて切削性を高めた種類の鋼もあります。

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この非金属介在物の検査方法ではJISでは顕微鏡を用いる試験方法などが規定されており、その形態や組成による区分などが規定されていますが、現在では、電子機器を用いて、ほとんど自動的に検査をされています。

さらに、工具鋼などの特殊用途鋼などを高い硬さで使用する場合は、非金属介在物の量や分布状態は寿命に影響する重要な項目ですので、重要部品用の鋼などでは、ESR溶解や真空溶解などの特殊溶解法によって、さらにそれを低減して鋼の品位を上げている鋼種もあリます。

しかし、通常の市販材などの通常鋼でも、それらの低減に配慮されて製造されているので、非金属介在物の量や性状が問題になることはほとんどないと言っていいでしょう。

非金属介在物が少ないことは製品寿命延長につながることが明らかになってきています。さらに、鋼中のガズなどについても品質に関係するなどもあって、鋼材メーカーでは、これらが少ないことを「清浄度が高い」という表現をして、それがセールスポイントになっている場合もあります。


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