エイジング        [a13]

Aging(エイジング)とは「時効」 のことで、ここでいう「時効」とは、鉄鋼材料特性が時間的に変化することをいいます。
そして、その変化を熱処理により作為的に行う場合を時効処理と言いいます。


鋼を熱処理後に、長時間が経過すると、変形や硬さの変化が見られることがあります。これを時効変化といいます。

焼戻し時の硬さ変化は温度と時間の関数にしたがっており、「焼戻しパラメータ」などで表されますが、そのように温度と時間によって時効が進行すると考えることができます。

焼戻しでは、硬さ変化すれば、組織変化が同時に進行して起こっていますので、焼入れ焼戻しした鋼でも、長い時間が経過すると、硬さや体積変化も進行している・・・ということが言えます。

つまり、焼入れ焼戻しされた鋼は、大なり小なり時間とともに変化し、環境温度にも影響を受けます。
また、焼入れ時に生成したマルテンサイトや残留オーステナイトは比較的不安定なものですので、それが変化したり分解するときにも硬さや体積変化が生じます。

高合金鋼などで2次硬化(500℃付近の焼戻しで硬さが上昇すること)がみられる鋼種については、あらかじめ温度を加えてそれを進行させる処理が行われているといってもいいですし、また、析出硬化型のステンレス鋼のH処理なども人為的な時効処理と考えていいでしょう。

析出硬化型のステンレス鋼は、例えば、SUS630では、1050℃程度から水冷することによって軟化させてから(これを固溶化処理・S処理といいます)、それを機械加工などで成形した後に、470~630℃程度に加熱して硬化させます。(これを析出硬化処理・H処理といいます)

過去に、析出硬化型のステンレス鋼をH900処理した長さ100mmの精密部品が、3年ほど経過したときに寸法が0.01mm近く伸びていて問題になったことがあります。品物の形状が大きくなると、その変化の度合いも、大きくなってきます。

これについて、焼戻しパラメータなどからその変化を推定してみたところ、室温で使用するものであっても、時効がごくゆっくりと進行することが分かったのですが、つまり、室温でも熱処理で組織や硬さを調整した鋼は、長時間が経過すると寸法変化することは避けられないと言ってもいいでしょう。

精密部品でも、熱処理硬化させた品物は、長時間が経過すると、寸法変化することを避けられませんので、注意しておく必要がある・・・ということを経験したことがあリます。

精密機械のフレームなどに使用される鋳物製品は、長期間雨天にさらす「枯らし」という作業が行われます。
これも人為的に行われる時効変形対策ですが、焼入れ焼戻し品でも、程度の差はあっても、時効による影響は皆無ではないということを知っておくことは大切です。



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(来歴)H30.11 文章見直し

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