時効処理(じこうしょり)        [s12]

【用語の意味】
時効硬化処理・エイジング処理なども同様の内容です。
温度を加えて、時間変態を促進させる処理ですが、それに伴って硬さ、耐食性などを変化させる処理方法のことをいいます。 

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【関連する用語】
 析出硬化  過時効

【補足説明】

焼入れ焼戻しをした製品は、時間が経過すると寸法変化や形状の変形が発生する場合があります。これは「経年変化」と言われます。

経年変化が生じる原因は、応力開放によるものと残留オーステナイトの分解によるものが考えられます。

焼入れ・焼戻しによって硬さを高めることは、内部の応力を高めることですので、ほとんどの場合で経年変化は発生するものと考えておかなければいけません。

応力によるものとしては、時間の経過でその応力が解放されるときに寸法などが変化するというものです。

残留オーステナイトについては、鋼の成分によって焼入れで組織的に不安定な残留オーステナイトが生じると、それが、ほかの組織に変わることで変形や変寸が生じる・・・というものです。

焼戻しの効果は「温度と時間の関数」で表現できます。例えば、M=(T+273)((21.3-5.8×C%)+logt) のような焼戻しパラメータで表されますが、このTは温度、tは時間で、同様の焼戻し効果(たとえば硬さ)を得るためには、温度を上げるのが手っ取り早いということが言えますので、経年的な寸法変化を防止するために、製品になる前段階で(焼戻しのような)温度操作をすることを時効処理と考えればいいでしょう。

これは、予め、温度を上げておくことによって、製品になって使用している段階での変化を少なくしよう・・・という考え方ですが、もちろん、これをする段階で焼戻しと同様の変化が生じるために、硬さ、変寸、じん性、耐食性などの変化などが複合して生じることになります。(もちろん、すべての変化がいい方向になるということではありません)

析出硬化型のステンレス鋼(SUS630など)では固溶化処理をして、比較的柔らかい状態で機械加工などの製品の成型をした後に、450~650℃程度の温度で析出硬化処理(時効処理)を行ないます。

析出硬化(や2次硬化)をする鋼種は、400~550℃程度までの温度で、炭化物の析出・凝集によって硬さが上昇します。そして、硬さのピークを超えて加熱すると、焼戻しと同様に硬さが低下します。(これを過時効といいます)

この時、析出硬化型のステンレス鋼は炭素量が少ないので、高炭素鋼系の鋼種と比べると、炭化物の析出硬化があっても変形が少ないという特徴があります。(しかし高価です)

この析出硬化系ステンレス鋼の時効温度は、焼入れ鋼と同様に、硬さ、強さ、じん性値などをもとにして決めることになります。

JISなどでは、H900などという、機械的な特性などに応じた大まかな熱処理温度が決められています。
これは、基本的には焼戻しと同様に処理ですので、硬さを基準に熱処理温度(と時間)を考えればいいことになります。
この系統の鋼種については、JISなどを見ても、よくわからない内容も多いと思います。このために、目的や用途を含めて事前の打ち合わせをするのがいいでしょう。


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