焼入れ性 [y03]
焼入れ硬化しやすいことを表現する性能を「焼入れ性が良い」などといいます。
ただしこれは、特に具体的な指標はなく、鋼を焼入れしたときに、表面硬さが高いことや硬化深度が深いかどうか・・・を表現する言い方といえる程度のものです。
焼入れ性の評価は (1)ジョミニ試験(焼入れ試験) (2)臨界直径による方法 (3)連続冷却変態曲線(CCT曲線)による方法 などが紹介されています。
Ni-Mo鋼のジョミニ試験例
硬さが高く、図の右側の硬さが高いほうが「焼入れ性が良い」と評価されますが、化学成分によることがこれらのグラフで分かります。
焼入れ性を増す元素としては図のような元素があります。このうち特に、Mn・Mo・Crなどが焼入れ性を高める元素です。
もちろん、これらをたくさん加えると良いというものではなく、製鋼時の問題やじん性、炭化物構成、機械的性質や熱処理時に問題がないか・・・などの検討が不可欠です。
焼入れ性の良い鋼種が水焼入れする「焼入れ性の良くない鋼種」よりも優れているということではありません。
例えば、日本刀のように中心部の硬さが自然に低くなっていることが切れ味が良くて折れない刃物になるなどの、西洋の刀にはない良いところがあるという見方考え方も大切です。
焼入れ性を示すデータとしては、低合金鋼ではUカーブ(断面硬さ)やジョミニ試験結果などがありますが、多くの鋼種でのデータはないので、利用する場合は限定されます。
CCT曲線の利用については、冷却速度とその硬さが示されているので、それを利用する方法です。
SCM440の例
高合金鋼など工具鋼では小さい品物では標準熱処理試験結果などのカタログデータで推測できますが、大きな品物になると、プロテリアル(旧:日立金属)の「半冷曲線」などで推測することができます。
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