熱処理用語の解説

とりべ分析値 (とりべぶんせきち)  [t19]

溶鋼分析値ともいい、製鋼中の溶鋼が鋳型に入れられるときに、取鍋(とりべ・とりなべ)から採取した試料による成分等の分析値のことで、この分析で製品の成分量などを決定します。

通常、メーカーのミルシートにはこの値が表示されます。


つまり、溶鋼(溶湯)の状態で充分攪拌されておれば、製品になってからよりも成分の均一性が高いので、JISなどでもこれを採用することになっています。

大量に生産される鋼の多くは連続鋳造法が採用されているので、製造された鋼片各部の成分差はかなり少なくなっていますが、従来からの製法では、溶鋼を鋳型に鋳込んで製造されるので、凝固が時間とともに進むことで、特に高合金鋼になると、表面と中心では成分や組織は同等ではありません。

このために、鋼材自体から試験片の採取をすると、位置によって成分や性質がミルシート値と違うことになってしまいますので、平均的な成分組成の「とりべ分析値」は信頼性が高いと言えます。

鋼塊の断面図

もちろん、製品になったときの偏析などを均質化して、品質の揃った製品を作り出す技術が「造塊技術」ですので、各鋼材メーカーでは、様々な工夫や技術によってとりべ分析値に近づけるように、また、偏析の少ない鋼となるように工夫されて鋼材が製造されているといえます。(図は、雑誌:鍛造技術より)


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(来歴)R1.9 見直し   R2.4 CSS変更   最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ
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