特殊溶解 (とくしゅようかい) [t18]
普通溶解に対する言葉ですが、特に何を指すものかは明確ではありませんが、一般的には、ESR溶解や真空溶解などを指していることが多いようです。
特殊溶解の目的は、鋼中の非金属介在物や有害ガスなどを除去して、高品位の鋼を製造するためですが、近年は、普通溶解として製造される鋼も、真空脱ガスなどを行うことで、鋼の品位は非常に高くなっていますが、さらに品質を高めるために行われるものです。
ただ、特殊溶解を行わなくても、普通の溶解においても、真空脱ガス精錬のように、溶湯に含まれるガスを除去する、簡易的な「真空脱ガス装置」は普通に行われており、これらの技術によって、ベアリング鋼の品位が非常に向上した例などを含めて、現在の鋼は非常に高品位なものが製造されています。
下図に特殊溶解の例をしまします。
真空溶解は鋳型や溶湯などの雰囲気を脱気のために、鋳型全体を真空引きして、空気にさらさないようにしながら、さらに、溶湯中の不用なガスを除去するもので、下は1つの例で、いろいろな方法が奥菜われています。
ESRは再溶解スラグ精錬技術で、普通溶解で造塊した鋼塊を電極にして、電気で再溶解しながら、非金属介在物などをスラグ中に吸収させて除去する方法です。
これらは余分な工程と設備のコストがかかるために、鋼材価格は付加料金が加わって、鋼材価格は高価になるのが通例です。

近年ではこれらとともに粉末技術(溶湯を鋳型で凝固させるのではなく、粉末にして、粒度を選別後に高温で圧縮して鋼にすることで均一な組織の鋼を作る方法)によって、粉末工具鋼や粉末高速度鋼(粉末ハイス)などの、従来の製鋼法では製造できない成分系の鋼種が製造されるようになっています。
(来歴)R1.8 見直し R2.4 CSS変更 R7.9月に見直し