連続冷却変態曲線
  (れんぞくれいきゃくへんたいきょくせん)[r10]

【用語の意味】

CCT曲線。縦軸に温度、横軸に時間をとり、焼入れ温度から等速冷却したときの温度推移と常温硬さを示した図。

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【補足説明】
共析鋼に近い鋼のCCT曲線

これは、焼入れ時の冷却速度によって、その組織や硬さとの関係を示した図表です。 Continuous-Cooling-Trancformationの頭文字をとっていますが、冷却速度を制御する焼入れ冷却装置を利用して、等速に冷却をして常温まで冷却した後の硬さなどを示しています。

この図では、焼入れのためのオーステナイト化温度860℃から、各種の冷却速度で冷却したときの硬さと、おおよその組織状態がわかるようになっています。

例えば、300℃/sec以上の速さで冷却するとすべてがマルテンサイトになり、540℃/secで冷却すれば、916HV(ロックウェル換算で67HRC)以上の硬さになり、200℃/secまではマルテンサイトとパーライト(ツルースタイトやソルバイトといわれる微細なパーライト組織)の混合組織になるということが読み取れますし、それからさらに冷却が遅くなると焼なまし組織になる・・・ということが読み取れます。

これは、特殊な装置を用いて連続冷却させたものなので、実際の熱処理で1cm角程度の小さな試験片を用いて水焼入れしても880HVを超えることが難しく、15℃/sec程度の炉冷をして完全焼きなましすると180HV程度の硬さになるので、実際の熱処理条件と異なるのですが、熱処理の研究が盛んだった1960年代は、これを用いて実際の熱処理の推定をすることも多かったのですが、現在ではあまり見ることもなくなっています。(しかし、熱処理の勉強をするための基本図表です)

この図中でも、140℃/secの線がPs-Pf間で連続冷却になっていないのは変態中に発熱反応が起こっているためですが、実施の熱処理ではこのような冷却にはなることはほとんどありません。

しかしこの図は、実際に焼入れした表面硬さから冷却速度や組織の状態を推定することなどには有用でなものです。

熱処理の検討には恒温変態曲線(TTT曲線)と合わせてみるのがいいのですが、残念なことに、鋼種別に見ると、公表されているものは多くありません。

CCT曲線は、小さな品物や、比較的焼入れ性の悪い鋼種の焼入れ状態を推定するのには役に立つのですが、近年は非常に焼入れ性に優れた鋼種が増えており、大きな形状の品物を扱うことが多いために、これでは使いにくいことになります。

このために、例えば、日立金属(株)では、焼入れ性の良い鋼種であっても、サイズが大きくなった時の硬さ推定や、 中心硬さの推定ができる「半冷曲線」というものを作成して公表しています。

また、最近では、パソコンソフトなどを用いて、比較的簡単に、加熱冷却シミュレーションができるようになってきていますので、それを利用して焼入れ状態を検討することも可能です。

しかし、当社でも、PCを用いてシミュレーションをすることがありますが、熱電対を用いた冷却過程の実測とはかなり異なってきますので、それらを理解して補正するなど、うまく使う必要が出てきますが、大型の品物の冷却状態を推定することなどには、実験しなくても推定できる便利さがあります。

このCCT曲線は、熱処理講義には説明されるのですが、「熱処理現場ではどのように使ったらいいのか?」は、私自身もよくわかりません。

当社の実情では、 焼入れ性の低い鋼種を取り扱う割合が減っていますので、「パーライトノーズにかからないようにするためには、 その温度まで何秒で冷やせばよいか・・・」などという使い方はほとんどやらなかったようで、やったことと言えば、構造用鋼の焼入れなどで、焼入れしたあとの硬さが出なかった時などに、 その冷却過程を考察するような使い方程度しかしていなかったようです。(m(__)m)

実際の熱処理では、連続的に等速で冷却するというのは特殊な条件で、たとえば、「油冷する」と言っても、 油温に達する温度まで冷却すると、特に大きな品物では、品物の内外の温度差から、鋼種によっては、焼割れや極端な曲りの発生する懸念があるので、 実際の熱処理作業では、冷却の中途で引き上げたり、あえて急速に冷やさない方法をとることも常に行われます。

むしろ、油温(通常は60℃程度)まで完全に冷やすことの方が少なく、 また、図に示されているような「連続冷却」することはありませんし、通常の熱処理では、表面硬さが重要ですので、焼入れ硬さを測って、それを基に焼戻し温度を決めるという流れでしたので、私自身も、これらの図は、熱処理勉強用の特殊なグラフだなのだろうと思っていたくらいでした・・・。(笑)


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