マトリックスハイス [m03]
通常のハイス(高速度工具鋼)よりも炭素量を低く抑えて、共晶炭化物を少なくするとともにマトリックス中の合金元素を高めることで高い硬さでじん性、耐熱性を高く保つように設計された高速度鋼に分類されているものを言います。
このマトリックスハイスは「セミハイス」といわれる場合もあります。
これは、準ハイスという感じですが、成分的にも、従来のハイスとダイス鋼の中間的な成分構成になっています。
高速度工具鋼は古くから、4%Crを基本にして、タングステン系とモリブデン系に分類されていましたが、昭和年代の終わりごろから、それに、マトリックスハイス(マトリクスハイス)と粉末ハイスが加わっています。成分例
これらは、従来ハイスのように、焼入れ性を補うために、4%Crにはこだわっていないようです。
PR粉末ハイスは、今まで製造できなかったような高炭素高合金の組成のものが作られており、特に耐摩耗性を重視しているのに対して、マトリックスハイスは炭素量を抑えてマトリックス(素地)を強化した高じん性タイプのものが多く、従来のダイス鋼に比べて、56-62HRCの硬さで、じん性や耐熱性をダイス鋼より向上させているのが特徴です。
また、熱処理に対する考え方も異なっています。
例えば、マトリックスハイスでは従来のハイスとは異なり、ダイス鋼に似たところもあるので、若干保持時間は従来のハイスよりも長くとる傾向がありますし、高合金タイプのマトリックスハイスでは3回の焼戻しを推奨(通常は2回の焼戻しが多い)されるなど、鋼種ごとに決められた熱処理をするような方向に変わってきているようです。
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(来歴) R1.8 見直し R2.4 CSS変更 最終確認R6.1月