第一鋼業株式会社~熱処理用語

共析 (きょうせき)    [k31]

1つの固溶体から2つの固相が密に混合した状態で生じたものをいいます。
鉄炭素系では約0.8%Cの鋼を共析鋼といいます。

下の状態図の「S点」を共析点といい、この場合は炭素量が0.77%の鋼を「共析鋼」といいます。

また、それより少ないC量の鋼をを亜共析鋼、多いものを過共析鋼といいます。

焼なまし組織比較例

これは炭素鋼の焼なまし組織例ですが、亜共析鋼は、黒く見える「共析組織」のパーライトと白く見えるフェライトが混ざって見えます。


鉄-炭素2元系平衡状態図の例

2つの混合液体(液相)から一定の凝固点(凝固温度)で凝固し、同じ組成の固体となったものを共晶と言い、上図では、約4.3%Cの鋼が溶融状態から凝固する点が「共晶点」で、それに対して、0.77%Cの鋼の混合固体(固相・固溶体)から同一組成の形態の違う固相に変化したものを共析組織といい、S点が共析点です。

様々な状態図が公表されていて、それぞれで微妙に数値は異なっていますが、鉄-炭素2元系の鋼では、共晶点は4.3%C、共析点は0.8%Cあたりにあるとしていいでしょう。

熱処理講習会などでよく聞く「共析」に関する説明では、「共析成分(約0.8%C)の鋼をオーステナイト温度域からきわめてゆっくり冷却すると、全組織がフェライトとセメンタイトの層状組織(パーライト)になります。それが、共析成分より炭素が少ないと初析フェライトが析出する亜共析鋼で、0.8%より炭素が多いと、初析のセメンタイトが析出する過共析鋼になります」・・・というような内容の説明が聞かれます。

炭素工具鋼のSK85という鋼種が共析鋼に近い成分ですので、熱処理の説明にはよく出てきます。

炭素量ノコなる炭素鋼の焼なまし組織
鋼の炭素量別に上記の炭素量の鋼を焼なましをした状態の組織を見るとこのような感じになっており、左端がフェライトだけの状態で、次がフェライトとパーライトの混合組織(亜共析鋼)、共析のパーライト組織、右端が、結晶粒界にセメンタイトが析出している過共析鋼の組織です。

共析組織の拡大 共析組織のパーライトの拡大部分(約2000倍)

その他で用いられる、共晶、共析と言う言葉は、製鋼過程でのオーステナイト温度域で晶出する炭化物を「共晶炭化物(または1次炭化物)、2次硬化する工具鋼鋼種を焼入れ後に500℃以上の高温焼戻しをしたときに析出する炭化物を「共析炭化物(または2次炭化物)」という・・・などがあります。

これらは、しばしば熱処理や鋼材の文章にでてきます。



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