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セメンタイト    [s32]

Fe3Cであらわされる鉄の炭化物をセメンタイトといいます。


亜共析鋼の例

これは亜共析鋼の焼なまし状態の顕微鏡写真の例ですが、黒っぽく見える部分は共析のパーライトで、その部分を拡大していくと、下の写真のように、セメンタイト(硬い炭化物)とやわらかいフェライト(α鉄)が層状になっています。大きい白い部分はフェライトの単相です。

この組織は、亜共析鋼(この写真は約0.4%C鋼)を、焼なまし温度から徐冷されるときに共析のパーライト(黒い部分)が析出して、残りがフェライト(白い部分)として残っています。

これが共析鋼(約0.85%C)になると、完全焼なましの状態では、組織全体がパーライト組織になります。

(参考)パーライトの電子顕微鏡写真 
パーライトの組織例

上の写真の黒く見える部分がパーライト組織になっていますが、これは、説明用のために、パーライトの電子顕微鏡写真をさらにデジタル拡大したもので、パーライトは、炭化物Fe3Cとフェライト(α鉄)が層状に析出した共析組織になっています。

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この共析組織のものを球状化焼なましすると、長い層状の炭化物が切れて、丸い炭化物に変化していき、そのために硬さも、若干柔らかくなります。

また、過共析鋼(例えば1%C)になると、鋼中に炭素が共析の量を超えるので、溶け込ませることができないために、粒状の炭化物のセメンタイトが結晶粒界に析出する組織になります。さらに炭素量が増えると、粒状の炭化物が結晶粒を取り囲む形になり、それを網状の炭化物または、網状セメンタイトと呼ばれます。


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(来歴)H30.12 文章見直し   R1.8 見直し   最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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