変態 (へんたい) [h39]
熱処理では、温度を上昇または下降したときに結晶構造が変化する現象(相変化)を「変態」といいます。
これには、オーステナイト変態やマルテンサイト変態などがあります。
変態が発生する温度を、変態点・変態温度といいます。
これは、鉄-炭素系の平衡状態図の一部ですが、鉄鋼の場合は図のようにA0~A4までの「変態」の状態が示されています。
鋼の温度を変化させた時に結晶構造や磁気的な性質などが大きく変わります。 これが「変態」で、変態が起こる温度を「変態点」と言います。
このうち、A0はパーライトの磁気変態点、そして、A2はフェライトの磁気変態点(キューリー点)で、A4はオーステナイトがほかの状態(δ鉄)になる高温状態の変態点ですが、通常の熱処理ではA1・A3 が重要で、取り上げられることが多いようです。
熱処理では、A1温度が基本で、さらに、図のSとフェライトのA3点を結んだ「A3線」と、SとEを結んだ「Acm線」が、鋼を加熱したときに、オーステナイトになるかならないかということで重要で、熱処理温度を考える時には、図中のオレンジ色の温度が重要になります。
この「S点」は共析鋼の共析点(ここでは0.77%Cと書いてある)で、この点とA3線、Acm線を基準にして熱処理温度が決まります。(つまり、炭素鋼であれば、薄オレンジで示した温度が焼入れ温度の目安になります)
PR鋼の熱処理は、温度を上げて、品物をオーステナイト状態にして、その温度から冷却速度を加減していろいろな性質の鋼にすることですが、この、オーステナイト状態にすることが重要で、焼入れ温度に温度を上げることを「オーステナイト化する」という言い方をします。
このように、一般熱処理の「焼入れ」「焼なまし」「焼ならし」などの加熱温度を考える場合には、炭素含有量に応じた、このA1線、A3線、Acm線がもとになります。
(注)この図は、平衡状態図で熱処理温度の考え方だけを示したものです。 実際の熱処理温度は、JISやカタログなどに示す温度に加熱するのが基本ですので注意ください。
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