エムエス点(Ms点)          [a18]

焼入れ冷却中にマルテンサイトが生成し始める温度をエムエス(Ms)点、マルテンサイト変態が終了する温度はエムエフ(Mf)点といいます。


CCT曲線の例でMS-MfWEBにあった図を引用しています。
これは、CCT曲線(連続冷却曲線)と言われるもので、オーステナイト化した焼入れ温度から連続冷却した時の時間・温度の推移が線で、実際の鋼種の試験結果では、冷却後の組織や硬さが(1)~(4)などに示されています。(時間軸は対数目盛であるので注意します)

エムエス点(Ms点)は焼入れでマルテンサイト変態が起こり始める温度で、エムエフ点(Mf点)はマルテンサイト変態が完了する温度です。

この図ではパーライト変態(Ps)にかかる(3)の冷却速度までMs・Mfが示されていますが、それよりも冷却が遅いと、マルテンサイトは生じないので、Ms・Mfは書かれていないということです。

(2)より遅い冷却では、マルテンサイト以外の組織になるので、MsやMfがどうなっているのかは不明確の場合が多いのですが、この図ではMs・Mfが示されています。

マルテンサイトは温度変態(温度が下がるにつれてその生成量が増す)とされていますが、実際の熱処理ではこのように連続的に温度降下させにくいことや、品物の大きさによっては、その各部に温度差があったりして、この図の状態とは変わりますので、これは、考え方を理解するための図だということでみてください。

通常の熱処理作業は、等速冷却をすることはほとんどできませんので、逆に、Ms点を意識しながら冷却速度を変えて熱処理している・・・というのが通常の熱処理作業と言えます。

MsやMfがすべてのCCT曲線に示されているということはありません。

これは、Ms点が常温以下であれば、オーステナイト系ステンレスのように焼入れ硬化しませんし、Mf点が常温付近やそれ以下の場合は、残留オーステナイトが組織中に残ってしまいます。このようなこともあって、(Mfがわからない場合を含めて)特に、MfがかかれていないCCT曲線が多いようです。

正確な数字ではありませんが、参考として、数種類鋼種のMs点の例を示します。ただ、Ms点は比較的測定しやすいのですが、Mfは残留オーステナイトなどの影響もあるので、ここでは90%マルテンサイトになった状態の数字が示されています。

下記の数字については出典が不明(私が寄せ集めたデータ)ですので、数値を使用するときは注意ください。
 

Ms点は重要ですので実測したり、計算で求める方法もありますが、成分の違いで大きく変わります。
そこで、いろいろな計算式が考案されています。
Ms店の計算式 九州工大のレポートを参照
九州工大http:hdl.handel.netから引用

Ms・Mf点はカタログなどをみても、表記されていない場合も多いようで、また、上記の計算式は適用する成分範囲が限定されていますので、すべての鋼種について計算できるというものではありません。

このために、似通った鋼種から類推して経験的に熱処理をされている場合も多いのですが、工具鋼においては焼割れや変形をコントロールする上でも、Ms・Mfを意識することは重要です。



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(来歴)H30.11 文章見直し

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