U曲線(ユーカーブ) [y14]
断面硬さを示したグラフで、その形が「Uの字」のようになることでそのように呼ばれます。
円柱状の試験片を焼入れをして硬化させると、表面に近い部分のかやさが高くて、内部に行くほど、硬さは低下します。
その様子をグラフにすると、下図のように、その形がU字状になることから、これをU曲線と呼ばれます。
上左図はS45CのU曲線で、右はジョミニー焼入れ試験(焼戻し曲線も併記)の一例です。
例えば、これを見れば、S45Cなどの焼入れ性の低い鋼種は、丸棒の横断面の硬さは、内部の硬さが低くなっており、さらに、外径寸法が大きくなるにつれて、全体の硬さが低下していることがわかります。
PR熱処理後の硬さ検査では、通常は表面硬さしか測定しませんし、さらに、硬さを測定できる部位は限られていますので、特に焼入れ性の低い鋼種では、例えば工具などでの働き部分(作用部分)の硬さと検査部分の硬さが異なるので、その内部の硬さを推定するために利用できます。
しかし残念ながら、いろいろな鋼種や棒径の違いなどがわかるデータは多くありません。
焼入れしたときの内部硬さを推定したり、焼入れ性の程度を知る方法としては、ジョミニー焼入れ性試験やCCT曲線などで概略的な傾向を知ることはできますが、これらも、ある程度の推定しかできません。
例えば、上右のグラフはSCM435のジョミニー試験をしたあとにそれを焼戻ししたときの硬さ推移を示していますが、ある程度の硬さ傾向は掴むことができます。
しかし、この試験も(油焼入れする鋼種であっても)すべてが「水焼入れによる試験」ですので、通常の油焼入れするものとは異なります。
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