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直接焼入れ(ちょくせつやきいれ)[t11]

浸炭や浸炭窒化後に、炉内でそのまま焼入れ温度になるように温度調節して焼入れすることをいいます。浸炭焼入れともいわれます。


深い浸炭層を得るための浸炭方法としては、木炭の中に品物を入れて浸炭する固形浸炭が主流でしたが、その場合は、浸炭工程を行った後に、いったん品物を取り出して冷却後に改めて焼入れ・焼戻し処理をするという方法が取られてきました。

しかし、近年ではガス浸炭などの雰囲気調整された炉内で浸炭などが行われるために、作業効率を考えて、浸炭をしてその後に同一炉内で焼入れをするという工程が取られており、その焼入れを「直接焼入れ」といいます。

現在はこの方法で浸炭~焼入れを行う方法が主流になっています。

ガス浸炭の熱処理パターン例

浸炭は窒化などの表面処理に比べて深い硬化深度がえられる上に、高周波焼入れよりも表面が高炭素となるので耐摩耗性が高いことや、表面に加わる圧縮応力によって、疲れ強さが強いなどの特徴があります。

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高周波焼入れは、形状に沿ったコイルが必要ですが、浸炭焼入れは、ガスが入り込み、油などで急冷されれば品物の形状にこだわらないという特徴もあります。

浸炭されてはいけない部分には焼きが入らないように「防炭する」という用語もあります。

浸炭処理と直接焼入れの工程は、上図のように、900℃程度以上の温度で浸炭を行い、その後、母材の焼入れ温度まで温度を下げて保持した後、油冷などで焼入れ処理をするという方法が一般的です。

この処理方法については、浸炭温度が高いために処理品の結晶粒度が増大してじん性値が低下するなどの問題があるという意見もあったのですが、現在では、改めて焼入れする場合(浸炭して常温になってから、再度焼入れする方法)と比較しても「あまり差がない」ということで、この方法が通常の方法になっているようです。

浸炭焼入れをすることで、表面は硬く、内部は強靭性のある品物に仕上がるために、自動車部品などには広く採用されています。

浸炭方法についても、ガス浸炭、プラズマ浸炭、真空浸炭などのいろいろな方法があり、また窒化と浸炭をする「浸炭窒化」などの処理も行われています。


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(来歴)R2.2 見直し   R2.4 CSS変更   最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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