熱処理用語の解説

スクラップ(鉄スクラップ)      [s25]

ここでは、鉄鋼の廃材(鉄スクラップ)のことをさします。

鉄鋼は廃材をリサイクルして利用されています。

鉄鋼廃材のリサイクル率は70%を超えています。

鉄スクラップ 鉄スクラップ

多くの方は、「スクラップ」という言葉から「不要なもの」「どうにも使い物にならないもの」と考える人もいるかもしれませんが、良質な鉄スクラップは高級鋼の製鋼には欠かせない原料です。

製鉄所では、鉄鉱石とコークスなどを原料にして製鉄をして、製鋼工程を経て製品になるまでを一貫工程で鉄鋼製品が製造されています。

これに対して、製鋼所は製鉄設備を持たない工場を言います。

製鋼所では、フェロアロイと呼ばれる鉄合金とともに、鉄スクラップを用いて製鋼して棒鋼、板材、型鋼などの製品に仕上げられています。

全鉄鋼製品製造量の約8割は構造用普通鋼と呼ばれる熱処理をしないで使用される鉄鋼類で、その低合金低炭素の鉄鋼廃材は、価値の高い鉄スクラップ資源となっています。

特に、工具鋼などの合金を多く含む高級鋼のみならず、低合金の普通鋼においても、良質の鉄スクラップが不可欠であり、そのリサイクルの仕組みがあって鉄産業全体が動いているといえるでしょう。

すなわち、良質の鉄スクラップがあってはじめて高性能な鋼がつくられていると言えます。

このために、製鋼に使用される鉄スクラップは、合金成分が少ないものが好まれます。 それは、製鋼中に加えるときに成分の調整がしやすいためで、さらに、取り扱いしやすい形状のものが好まれます。 反面、工具鋼やステンレス鋼などのスクラップは普通スクラップの用途は特定のものしか利用できないので、普通鋼(低炭素出てい合金の)スクラップに比べると、あまり好まれません。

ただ、ステンレスや工具鋼のスクラップは、鋼種ごとに分別することなどで、特定用途向きのスクラップにできるので、分別すれば普通鋼のスクラップよりも高額で取引されるケースもあります。 もちろん、それらは、同系統の鋼種の製鋼用に使われます。


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用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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