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衝撃試験(しょうげきしけん)[s17]

衝撃試験は、じん性やねばさを評価するものです。

その方法の一つに、試験片をハンマーで破断したときに失われるエネルギー(吸収エネルギーという)を測定する、シャルピー衝撃試験があります。

「シャルピー値が大きい」ということは、ねばさがあり、衝撃に対して強いという評価になります。

シャルピー衝撃試験は、JISに、試験片形状が種々規定されています。低合金鋼では2mmUノッチの3号試験片が多いようです。

しかし、焼入れした工具鋼では、JISにない10Rノッチの試験データが多く見られます。



衝撃試験の方法はハンマーで試験片を折る方法や、ねじり切る方法など、いろいろありますが、JISには試験片を折る方法の、シャルピー、アイゾットの試験についての規定があります。

硬さの低いものでは、「じん性値」という言い方で、破壊のされにくさを評価しますが、試験片の(特にノッチの)形状によって、えられる数値は全く異なります。

工具鋼などを焼入れした場合の試験もシャルピー試験が多く用いられるようになってきましたが、高硬さ品になると、試験時の危険性が高くなり、数値のばらつきも大きいこともあって、近年では、日立金属が行っている「10Rシャルピー試験片」の沿って、各社も比較することが多くなっているようです。

10Rシャルピー試験片寸法 第一鋼業図面

これは日立金属の指導に基づいた、当社の10Rシャルピー試験片の加工図ですが、ノッチ(溝)形状を大きく滑らかにして、試験値のばらつきを抑えようと考えられたものです。これで得られたシャルピー値を「10R(じょうあーる)シャルピー値」と呼んでいます。それに対して、JIS3号は「2ミリユーノッチ」「1アールユーノッチ」などと称されています。

もちろん、この10R試験片はJISにはないものですし、高硬さ品では加工も大変なうえ、それでも、大きく値がバラツクことは避けられません。

これもあって、ノッチをつけない値(これは「無ノッチ」と呼ばれます)で評価するメーカーもあるようですが、ノッチを付けないと、不思議なことに、さらにばらつきが大きくなるようで、いずれにしても、高硬さの品物の試験は大変であるのですが、耐衝撃性を直接数値で表現できるために、衝撃試験データはしばしば目にします。

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高硬さの品物については、日立金属では、抗折試験値でそれを比較することが行われています。

下は、日立金属の鋼種例ですが、抗折試験による「抗折力×たわみ」を吸収エネルギーとして比較されています。折れにくいことは、ねばいということになりますが、シャルピー試験が55HRC以上の高硬さ品には向いていないのに対して、この抗折試験は、58HRC以下の試験には向いていないと言えます。

このように、工具鋼などで高い硬さの材料評価は試験が困難なだけではなく、試験片を作るまでの過程(材料、材料取りの方向や位置、熱処理条件など)を十分理解していないと試験や正しい評価はしにくいもので、これらの特殊鋼メーカーが公開している数値は、長い経験と結果の蓄積があって公開されているもので、ある意味で、貴重なデータと言えるでしょう。


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