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磁気変態(じきへんたい)   [s11]

強磁性体⇔常磁性体の変化が生じる温度が磁気変態点(温度)です。
鉄鋼では、平衡状態図にみられる変化や結晶構造の変化はありません。

熱処理に関係する磁気変態点としては、鉄-炭素系状態図には、210℃付近のセメンタイトの磁気変態点A0(えいぜろ)と、780℃付近のA2(えいつー:キュリ-温度)があります。



鉄-炭素2元系平衡状態図の例

鋼はオーステナイトになると面心立方晶に変化するとともに、非磁性(常磁性)になリます。

上図で780℃の線が磁気変態線A2で、鉄Feの磁気変態温度が示されています。



状態図では、A1、A3 の説明が主になって、A0、A2 の磁気変態についてはあまり取り上げられることもないのですが、熱処理をしているときに着磁力の変化を感じることがあります。

一つは、熱処理中の品物の温度が250℃程度になると、型鋼などのブロック材をなどをマグネットリフマー(永磁チャック)で吊り上げると、かなり着磁力が落ちていることに気づきます。

また、焼入れを空冷で行うダイス鋼では、Ms点が200℃以下ですので、それ以上の温度ではオーステナイト状態なので以上の温度の品物は、同様にマグネットリフマーの着磁力が充分に利かないことをしばしば経験します。

これは、すべてがA0、A2によるものではないのですが、前者ではセメンタイトを含む組織が磁気変態点A0に関係する事象に関係していますし、後者は未変態のオーステナイトやA2が関係する事象です。

いずれも鋼の一部が非磁性(常磁性)になっていることで着磁力が落ちています。

しかし、これも、組織の一部分であるので、完全に磁石につかない(常磁性)になっているのではありませんので、理屈はともかく、品物の温度が高い場合には、マグネットの着磁力が落ちていますので、充分に落下事故に対する注意が必要です。

このような内容は、書籍などでは解説されていない内容ですので、実際に経験するとこの状態図なども頭に入るのかもしれません。


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