レアメタル [r06]
Mn,Cr,Mo,Wなど、鉄鋼の特殊鋼などに含まれる合金元素の多くはレアメタルに分類されるものです。
レアメタルとは、地殻中の存在量が少ないか、採掘コストがかかるなどの非鉄金属をさしますので、当然、相場が形成されるなどで、鋼の合金含有量によっては、鋼材価格変動の要因になります。
レアメタルは和製英語
「レアメタル」は和製英語といわれますが、しかし現在、広辞苑にも載っています。
外国では、希少な金属という意味で、メジャーメタル(コモンメタル)に対する「マイナーメタル」と呼ばれるようですが、日本語の「レアメタル」のほうがかっこいい感じですね。
もっとレアな存在の「レアアース(希土類元素)」は英和辞典に載っていますので、「レアアース」は普通の英語のようです。
いずれも「レア」と言うものの、上の周期表に見るように、かなり多くの元素が該当しています。
白金はレアメタル 金銀はそうでないのは、産業上不可欠かどうかで分類
鉱物資源の多くは「レア」で貴重なものですが、例えば、貴金属の「白金Pt」はレアメタルなのに、金や銀はそうではありません。
これは、白金が工業用途で使う対象であるのに対して、金銀は貴金属で装飾品という、昔からのとらえ方である … ということのようで、つまり レアメタルとは「希少で、かつ産業上不可欠」なものというとらえ方で分類されているようです。
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鉄鋼に用いられているレアメタル
レアメタルの中で鉄鋼用に使われているものには、ホウ素B、バナジウムV、クロムCr、マンガンMn、コバルトCo,ニッケルNi、ニオブNb、モリブデンMo、タンタルTa、タングステンW などがあります。
これらは鋼に対する効果としては、
焼入れ性を高める:B Cr Mn Ni Mo W
耐摩耗性を高める:V Cr Mo W
耐食・耐熱性向上:Cr Ni W Mo
その他じん性や強さを高めるためにこれらの元素は重要なものです。
鉄鋼の製造用のレアメタルは、フェロアロイという形で製鋼時に加えられる「合金鉄」で、鉄鋼生産には欠かせません。
フェロアロイの生産は、中国、インドネシア、インドなどのうち、中国が突出しており、鉄鋼生産国は中国の政治動向が気になるので、ニュースにとりあげられることもあります。
もちろん、日本国内でもフェロアロイを加工して、合金用の合金鉄が製造されていますが、本来、鉱物自体の産地や産出量は限定的ですので、輸入する際には相場が形成されていますし、産出国の政治的要素なども加わると、価格が変動して問題になります。
しかし、幸いなことに、 鉄鋼の主要成分であって、その特性を大きく変える、炭素C、シリコンSi、マンガンMn、クロムCr,ニッケルNi、などの主要合金は、
生産量(産出量)も潤沢で、短期的価格変動はあるものの、価格、量ともに比較的に安定供給されていて、鋼材価格としては大きな変動は少ないといえるでしょう。 それによって、鉄鋼全体の価格安定が保たれています。
しかし、鉄鋼の特性に関係する合金元素は、相場が形成されているので、供給に不安定な要因があるために、特に合金元素量の多い工具鋼などを作るメーカーでは「サーチャージ」や「エキストラ」という言い方で、 鋼材価格の変動幅を半強制的に調整する仕組みが出来ています。
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