熱処理用語の解説

レアアースについて        [r05]

レアメタルの中の希土類元素17種をさし、比較的耳にするものでは、磁石用のネオジムや蛍光体のイットリウムなどがあります。

レアアース17種
(通産省のHPより)


レアアースという言葉自体は、ニュースに取り上げられることはありますが、鉄鋼の特性を高めるための合金元素にレアアースを使う … などの話題は、ほとんど耳にすることはありません。

鉄鋼中に加えられる合金元素は、何らかの特性(たとえば強靭性や焼入れ性など)を高めるために加えられているのですが、現状では、鉄鋼にレアアースを含有させて特性を高めているという例はほとんど聞いたことがありません。

この理由は、1つには、レアアースの特性や特徴がよくわかっていないこと、もう一つは、合金元素として用いるには、供給安定性やコストの面で問題がありそうなこと … などで研究や実用が進んでいないと思われます。


もちろん、公表されていなくても研究はされているでしょうが、話題になっていないところから見ると、画期的な鉄鋼の特性アップに結び付いていない状態にあるか、話題になるほど、研究されていないということでしょう。


現状では、鉄鋼種に対するレアアースの特性などについてもよくわかっていない状況ですし、コストに見合う以上に優れた特性があるかどうかもよくわかっていない … という状況だと考えていいでしょう。

過去に、「鋼は大根よりも安い」というイヤミも言われていたくらいに、高品質で有用な鉄鋼製品ですが、最高の技術や手間をかけている割には、価格が安く、また、その付加価値を充分評価されない状態ですから、いくら鉄鋼とレアアースの研究は行われて少しの成果があるとわかっても、製品化されるのは、ずっと先になるという感じがします。

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精錬や製鋼の技術の進展の歴史を見ると、『やってみてどうなるか』という錬金術のようなものを基本に発展してきた部分も多いので、どこかで研究はされているでしょうが、高価で供給不安もささやかれるレアアースを使ってペイする結果を出すとなると、研究に着手するのもハードルが高い感じがします。


ニュースなどでは、レアアースの中で、ネオジム、サマリウム、プラセオジュムなどが強力磁石の材料に使われているのが知られますが、レアアースの多くは中国で産出され、産出量の半数が日本で消費されています。

WEBで通産省のHPを見ると、レアアースは、かなりいろいろな用途に使われているようですが、「レアメタル」としての有用性に比べて、レアアースは、まだまだ未知の元素と言えます。


レアアースの用途 通産省のHPより 通産省のHPより

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(来歴)R2.2 見直し R2.4 CSS変更   R7.9月に見直し  

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ




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