熱電対 (ねつでんつい) [n11]
サーモカップルとも呼ばれます。
温度測定に用いられる温度センサーで、K熱電対、R熱電対など多くの種類があります。
異種金属の先端を溶接するなどでその部分を高温にすると電位差を生じることを利用したもので、温度に対する精度が高いことから、熱処理の温度測定の温度検出器として最も多用されます。
このために、温度は、熱電対によって発生した電圧を温度に変換して表示する計器(熱電温度計)や、表示と調節機能を加えた「(熱電)温度調節計」などを用いて熱処理装置の温度表示と温度制御を行います。
一般的な鉄鋼の熱処理で用いられる温度域は、-200~1350℃程度であるので、そこで用いられる熱電対は1000℃まではアルメル-クロメルとも言われる、鉄合金の「K熱電対」、それより高温域では 白金-白金ロジウムを用いた「R熱電対」などが多く用いられています。
熱電対の種類・線径で耐用温度が異なり、それに応じて選んで使用します。
また、熱電対が直接に炉の雰囲気(使用環境)に触れると、急激に劣化する場合があるので、通常は保護管に封入して用いられます。
また、「シース熱電対」と呼ばれる、シリカなどを封入して一体化した熱電対では、耐用温度が高くて細い製品が作られているものを用いて、外形が3-5mm程度の細いものは熱処理実験などに使用されます。
その他特殊なもので多く用いられているものとして、溶解炉などの高温の溶湯温度を測定するために、R熱電対の使い捨てタイプのものなどが用いられています。
熱処理工場においては、正確な温度管理は作業のカナメで、定期的な温度精度の管理が欠かせません。
特に高温用の熱電対は劣化しやすく、その精度検査も大変なことから、多くの熱処理工場などでは、使用期間をきめて新品に交換することによって精度を維持していることも多いようです。
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