熱処理操作・熱処理工程の流れ図 [n10]
鉄鋼の熱処理作業中の温度と時間の経過は、しばしば「熱処理線図」と呼ばれる下記のような図で表されます。
これは、熱処理の際に行う、加熱、冷却などの操作の温度・時間を示す流れ図のようなものです。
このような図を用いないで、 1030℃x1Hr 空冷 200℃x3時間 空冷 2回 …
というように指示しても熱処理する内容がわかるのですが、図に書かれていると、温度・時間の流れがつかみやすいので、このような図を熱処理の指示に用いられています。
熱処理の現場では、「一般作業標準」などで、基本的な仕事の流れが決められていますが、品物と伝票(作業票)で進めるので、そこにこのような線図を書いてわかりやすくしています。
これについて簡単に紹介します。
例えば「焼入れ」の場合では、基本的な作業や手順は決まっているので、加熱温度、保持時間、冷却方法などが示されると、熱処理内容や工程手順がわかります。
この図は、書き方や使い方が統一されたものではありませんし、全部の作業を示していませんが、このような図に必要な指示や項目があれば、これに従って焼入れして、1回の焼戻しをすればいい … というように、これだけで熱処理の一連の作業ができるようになっています。
この見方は、左から、時間が経過していき、時間の経過が表示されます。
上方向に進む線は温度を上げる過程が示されており、反対に、下方向に進む線は品物の温度が下がっている過程が示されています。
この一連の操作を追ってみると、まず、品物を加熱炉に装入して、いったん指示される「予熱温度」に温度一定時間保持します。 そして、品物の温度が均一にしておいて、焼入れ温度まで昇温し、一定の時間の保持をしてから、油冷や空冷などの冷却指示に従って冷却操作をすると、焼入れ操作が完了です。
次に、焼入れした品物を加熱炉に入れて、焼戻し温度まで昇温して、決められた時間を保持し、決められた冷却方法で常温まで冷却します。
これで上記の熱処理が完了し、あとは必要な検査などをして一連の熱処理過程が完了です。
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もちろん、熱処理のパターンはいろいろあるので、それに沿ってこの熱処理線図が示されます。
上の図には温度や時間の数値がありませんが、それぞれの項目に、数値などで具体的な情報が表示されています。
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