内部酸化 (ないぶさんか) [n02]
鋼を加熱するとき、雰囲気や品物表面の酸化物から拡散した酸素によって、内部に向かって酸化が進行することが内部酸化です。
特に、結晶粒界に進行しやすいために、それは「粒界酸化」とも呼ばれます。
これらは、鋼にとっては、好ましくないものです。
熱処理の用語としては使われることが少ないのですが、長時間処理をする浸炭や、高温での加工の圧延などでは問題になることがあります。
内部酸化の反対語として外部酸化があります。
これは、高温の鋼に酸素が接触すると酸素と反応して酸化物(スケール)などができ、それが外部酸化ですが、鋼の成分、加熱温度などの条件によって、鋼の表面部で酸素とうまく反応しない場合に内部酸化が生じるとされています。
この表面の酸化層は変質層であるために、それは機械的に除去する必要があります。
熱処理では、例えば、大気加熱する完全焼なましでスケールが生成しますが、スケールが生成させるときに、鋼中の酸素を奪う「脱炭」が進行するので、その後に焼入れする場合はその酸化層を除去しておかなければなりません。
このため、焼入れにおいては、正常な表面(普通は光輝面)の品物を焼入れをしなければ、いろいろな不具合が生じやすいといえます。
PRまた、焼入れなどでは、近年、雰囲気の調整をされている場合が多いので、そうすると、空気中の酸素による「酸化」が問題になることがないのですが、浸炭など長時間の加熱や1200℃を超える高い温度のハイスの焼入れなどでは酸化(と脱炭)が生じる場合があります。
熱処理を熱処理会社等に委託する場合は、雰囲気を調整した炉を使用して熱処理をしていると、表面状態の悪い品物をお願いしようとしても、他の品物に影響が及ぶために、熱処理を受け付けてもらえない場合もあります。
大気炉の場合であっても、表面にサビやスケールが付着した品物は、加熱時に表面の酸化や脱炭が多くなるので、やはり、熱処理品は機械加工の光輝肌で依頼するのが基本です。
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