ナイタール [n01]
金属顕微鏡組織の観察用の腐食液で、硝酸をアルコールで希釈したものをナイタールといいます。
当社では、市販の濃硝酸をエタノールで3%程度に希釈したものを標準として用いていて、構造用鋼から工具鋼までのほとんどの顕微鏡組織の観察用に使用しています。
腐食液の種類や濃度を変えると腐食速度が変わったり、組織の見え方が異なってきます。
そのために、種類、濃度、温度などを一定にすることで組織が一定の状態で見られるようにすることが大切です。
顕微鏡組織観察は、経験が必要ですし、感覚的なところも多分にありますが、標準組織と見比べられるようにするなどの練習を積むことによって、その差異や組織の状態がわかるようになります。
金属顕微鏡組織を見るための腐食液のほとんどのものは強酸、強アルカリなどを扱うので危険性が高く、また、直接触れたりや発生したガスを吸引すると人体に有害であるので、その保管と取扱い使用の際は十分に注意しないといけません。
そのために、薬品類の取扱者には、中学時代にならう程度の化学の知識と毒物劇物に対する知識を教えてから使用するようにするなどで安全に留意します。
アルコールは希釈のためのものであるので、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどどれを使用してもほとんど変わらないようです。
しかし、価格の安いメタノールを使う場合は、毒性には特に注意しないといけません。(安全のためにメタノールは使わないようにしましょう)
当社では、ステンレス鋼の組織を観察することが少なく、腐食されやすい鋼種が多いので、ほとんどナイタールを使用しています。
その他に使う鉄鋼用腐食液では、ピクラール(ピクリン酸アルコール液)、酸化第2鉄溶液、王水または王水のグリセリン希釈液などの腐食液を使用することもありますが、頻度は少なく、逆に、できるだけナイタールを使用して、その違いを見るようにしています。
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