マルエッチ [m04]
「焼入れ」又は「調質」のことで、それを慣用的に言う業界用語です。
熱処理現場では「マルエッチする」「エッチ材」などのような使い方がされていて、すでに調質済みの鋼材を「マルエッチ材」、焼ならしされた材料は「マルエヌ材」「ノルマ材」、焼なまし済み材は「マルエーザイ」と言われるのですが、これらも同様の鋼材や熱処理業界内で使われる用語です。
このような記号で表示される場合もあります。これはJISによる表示ではありません。
マルエッチは調質材、マルエヌは焼ならし材、マルエーは焼きなまし材で、これらも業界特有の表示でしょう。
PRこの、マルエッチ・・・などのいい方は主に、鋼材関係業界で使われる用語で、一般的な用語ではありませんが、しばしば鋼材の関係ある熱処理業でもよく耳にします。
現在はJISに基づいた表示が多くなりましたが、出荷時の現品につけるエフなどの表示を手書きする際に、S45Cの後に「丸囲みのH」を書く場合もありました。
この表示方法は慣習的なもので、JISの表示もわかりやすいとはいえないので、取引では特に問題がないものの、「S45C調質済品」や「S45C HQ-HT済」などと表示するのが適当でしょう。
このように、慣習的に使われていてわかりにくい用語には、「アズ・クエンチ」「アズ・キュウ」や「H鋼(エッチ鋼・エイチ鋼)」などの用語もあります。
アズクエンチ は As-Quench のことで、焼入れ状態のままのものをいいます。
同様に、焼入れしたままの硬さは「アズキュー硬さ」などといわれることがあります。
これも一般用語ではありませんが、現在の熱処理試験の図表などにも「焼入れのまま」などと表記しないで「As-Q」などの表記は使われていますので、この表現は覚えておいていいと思います。
JISのH鋼と間違わないように・・・
この慣用的な表示と、「H鋼」について区別して理解しておく必要があります。
「H鋼(えいちこう)」とは、JIS G 4052などで規定される焼入れ性を保証した鋼材のことです。(正式なJISの呼び方です)
たとえばS45C-H(またはS45CH)などのように鋼種名の末尾に「H」が付記されています。これは、ジョミニ焼入れ性試験をした時のHバンドが一定範囲にあることを保証した鋼材で、もちろんS45Cとは違う鋼種として扱うことになります。
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