五感温度 (ごかんおんど) [k57]
熱処理温度を測る「温度計」がなかった昔には、目や肌などの五感で感じる温度や品物の状態を見て熱処理が行われていました。
私が勤務していた第一鋼業(株)では、1960年代になって「自動制御」という言葉が聞かれ、自動温度調節計が炉に設置されたという記憶がありますが、その当時の熱処理作業者は、加熱色で温度を見る方法や、熱い品物を瞬間的に触ったり、熱を感じる距離感で温度を測る方法を行っていました。
これらの詳細については、今ではほとんど紹介されることはありませんが、プロテリアル(旧:日立金属)のSLDのカタログに、下にあるような図表が、平成年代まで掲載されて残っていたのですが、残念ですが、現在のカタログではそれが見られなくなっています。
貴重な資料だと思いますので、ここでプロテリアル(旧:日立金属)さんの資料を紹介させていただきます。
加熱色は「火色(ひいろ)」、焼戻し色はテンパーカラーとも呼ばれます。
PR私が勤めていた第一鋼業(株)でも、熱処理加工者はこれらのことを引き継がれてきたものですが、過去の熱処理は「3K」と言われるほど「きつい、きたない、きけん」な作業のなかで、職長さんレベルになると、火色を目で見て加熱温度を判定し、手で感じる温度で焼入れのタイミングを測っていて、私が熱電対や熱電温度計で測定するよりも、的確に加熱炉や品物の状態を把握されていました。
現在では、熱処理は省エネ化や自動化、あるいは計装設備・装置により、炉の中の状態がモニターできますし、炉から出てくるまでに熱処理が完結するものもあるようになって、熱処理作業自体も変わってきているのですが、その反面、人間の五感で品物の状態を判断することもなくなってきています。
いいか悪いかは別にして、ここにあるような内容についても、後任に指導されることもなくなりました。
しかし、これらは日常の生活のいろいろな場面で役に立つと思います。一部分だけでも知っていると、何かの役に立つでしょうから、今後もこれらを私のHPで紹介して伝えていきたいと考えています。
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