熱処理用語の解説

鋼材についてのちょっとした知識      [k53]

鋼材とは、圧延、鍛造、鋳造などで所要の形状に加工された鋼の総称のことです。

「鋼材」は、下図の右端に並んだ製品(型鋼、鋼板、パイプなど)として販売されているもので、その手前の工程にある製造途中の半製品は鋼材とは呼びません。


  

協力:第一鋼業 さまざまなところで使われるせん断刃物の紹介図

この図は、製鉄所の工程を簡単に示した図です。

製鉄所以外の製鋼所やスチールセンターで作られる場合もありますが、このように、様々な工程を経て鋼材が製造されています。

この図のように、製鉄工程から製品になるまでの工程では、熱間圧延製品と冷間圧延製品に区分されており、図に示すような様々な鋼材がつくられているとともに、その形状、外観なども様々なものがあります。

日本製鉄・JFEスチールなどの国内の大手製鉄所では、高炉(溶鉱炉)を用いて銑鉄を作り、それを転炉などの製鋼炉で炭素量を下げた溶鋼に、新たな特性を付加するために、Si や Crなどの合金成分を加えるなどの「製鋼工程」を経て様々な鋼種の鋼材が作られます。

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製造される大半は熱処理しないで使用される鋼

日本国内で製造される鋼材の全体量の割合では、「軟鋼」又は「普通鋼」と呼ばれる熱間圧延構造用鋼材が多く、これらはこのHPで説明するような「焼入焼戻し」などの熱処理はしないもので、そのまま、橋梁や建築用などに使用されています。

鋼材の製造は、製鉄所だけでなく、製鋼所と呼ばれる企業(工場)や、さらに圧延などを行ういろいろな事業所(工場)でも、いろいろな鋼材が製造されています。

  

「製鋼所」は、製鉄所のような製鉄設備(高炉)を持たない事業所を言いますが、ここでは主に、鉄アロイや鉄スクラップを用いて様々な鋼材が製造されています。

この「鉄スクラップ」は鉄鋼製品をリサイクルして供給されますが、高級な鋼を作るためにはとても重要な資源です。

これらの各工場で製造されて出荷される鋼材は、その後の加工に問題ないように、焼なましなどの熱処理工程を経ていますが、それらの品質は、JISや製品カタログ(あるいはミルシートと呼ばれる検査成績書)などに、出荷状態の品質が表示されています。

ちなみに、このHPで取り上げている熱処理は、メーカーの工程中に行われるものも含まれていますし、市販の鋼材を購入したのちに、熱処理をするケースもあるのですが、例えば、購入した鋼材の特性を変える場合に、何らかの熱処理ができる … ということで、考えるのがわかりやすいかもしれません。

例えば、購入した状態の鋼材がそのまま使えるのなら熱処理は不要ですし、加工できないような硬さのものだったら、「焼なまし」をして柔らかくすればいいし、工具のように硬くて強くしたいなら「焼入焼戻し」をすればいいというように、何かの特性を付加するときに熱処理をすると考えておくといいでしょう。


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用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ




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