光輝熱処理 (こうきねつしょり) [k50]
保護雰囲気中などで行う熱処理で、表面の酸化や脱炭を防止し、表面の光輝状態で熱処理することの総称を光輝熱処理といいます。
光輝熱処理は「無酸化熱処理」と同じような意味合いで使われており、真空や窒素ガス雰囲気などを指します。
つまり、酸化による強度の着色やスケールなどがない状態で熱処理されるという意味合いのもので、雰囲気中での加熱によって、熱処理後の表面は、熱処理前の金属光沢(表面肌)とは若干異るのは避けられませんので、熱処理前の状態と同じ表面肌で仕上がっていない場合もあります。
(大型の真空油焼入れ炉:協力=第一鋼業)この、光輝熱処理に対する言葉は「大気熱処理」です。
「光輝」とは、元の金属光沢が残った状態で熱処理されるという意味合いですが、完全に光輝状態でなく、脱炭や浸炭、酸化などで有害な表面性状にならない場合をさしていることも多く、さらに、焼入れしたときには光輝状態で、その後に大気雰囲気で300℃程度以下の焼戻しして薄い酸化や着色がある場合でも、光輝焼入れと称されることもあるようです。
PR空気雰囲気で鋼を高温に加熱すると表面が変質します。
それを防ぐために保護雰囲気(主に窒素ガス)で加熱したり、脱気して酸素のない状態で加熱すると、表面が変質しない状態で熱処理できます。
このことから、広義の意味では、「無酸化熱処理」と同じ意味合いです。
光輝熱処理を行う主な目的は、脱炭層などの異状層が出ないようにすることですので、ほとんどの品物は熱処理後に仕上げ加工をするので、熱処理価格低減と熱処理時間の短縮のために、「光輝焼入れ+大気雰囲気の焼戻し」を行う場合も多々ありますし、全自動炉などでは、全ての工程を通じて、無酸化雰囲気で行う場合もあります。
このように低温の大気雰囲気の焼戻しを含んでも、焼戻しで生じる着色やスケールはサンドペーパーで磨く程度で除去できますし、脱炭など、内部への影響がほとんどありません。
たとえ全工程を真空などの光輝雰囲気で行っても、冷却に用いる窒素ガスなどの雰囲気ガスとの接触があるので、加工前の表面色と同じように仕上がらず、まったく熱処理前と同じような金属光沢は保てませんが、大気熱処理のように脱炭層が0.1mmを超えて、表面硬さに影響するというような問題はありません。
このような光輝焼入れを行っても、熱処理後の硬さ検査では、特に測定方法などの取り決めがない場合は、品物の表面をバフ磨きをして硬さ測定をしますので、検査あとが残ります。
これは熱処理肌そのままでは、正しい硬さが測定できないために測定面を調製する必要があるためで、通常は検査のための痕跡が残リます。
硬さ検査については、指定がなければ品物の中央部で測定するので、検査のための磨き処理や測定痕が残ってはいけない場合には、事前に打ち合わせをして品物に影響が出ないように対策しておかなければなりません。
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(来歴)R1.8 見直し R2.4 CSS変更 最終確認R6.1月