熱処理用語の解説

結晶粒度 (けっしょうりゅうど)[k42]

顕微鏡観察したときの結晶粒の大きさを結晶粒度といいます。

オーステナイト結晶粒度やフェライト結晶粒度などがJISでは顕微鏡による試験方法として規定されています。

一般的には粒度番号で表現する場合が多く、番号の大きいほうが細粒で、小さい数字ほど粗粒です。


結晶粒   

一般的な測定は顕微鏡写真と標準粒度表を比較して粒度を決める「比較法」が一般的です。

顕微鏡で見る面は結晶粒が立体的に分布しているうちの、上図のようにある断面を見ていますので、たとえ鋼材の結晶粒がそろっていたとしても大きさが異なって見えます。

このために、標準の粒度表と比べて判定します。この方法が「比較法」です。

JISでは100倍の倍率において25mm平方あたりの粒数を粒度番号としていて、この中に1粒あれば「1」、2つあれば「2」と定義しており、光学顕微鏡の接眼レンズにはめて透過して見える下のようなパターンと比較して粒度判定するのが一般的です。

結晶粒度テンプレートの例  結晶粒度の比較用スケールの例

粒度については、5以下を粗粒といい、それ以上が細粒ですが、一般的には、細粒鋼のほうがじん性などに優れているために、8以上を細粒とする場合があります。

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近年では、圧延や鍛造の圧下度や温度管理によって、粗粒にならないように鉄鋼製品は管理して製造されています。

結晶は、その並び方(方向性など)の違いでその境界に結晶粒界ができるのですが、温度が高いとそれが成長していきます。

明らかに粒度の違うものが混じっている状態のものを「混粒」といっています。

混粒は製鋼、熱処理、鍛造時などでの温度管理や工程の不適で発生するので、あまり好ましいものではありません。

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近年、結晶粒度の測定は、光学顕微鏡によるのではなくて、電子顕微鏡やX線回折によって結晶粒の形状や粒径を読み取る方法で結晶粒度を表示していることが多く、その方法としては、直交する線で切断される結晶粒をカウントして計算で求める「切断法」や、面積から算出する方法(求積法)、その他の方法で求める方法などが実施されています。

いずれもコンピュータなどで数値演算して粒度を少数位まで算出されるので簡便で正確だという感じもあって、比較法との差異があることなどについても指摘されることもあるのですが、それらの厳密そうな数値のほうが正しいと勝手に過信してはいけません。


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用語の索引

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さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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