結晶構造 (けっしょうこうぞう) [k41]

【用語の意味】
鋼は熱を加えると結晶構造(分子の並び方)が変化します。
焼なまし材は体心立方(BCC)ですが、焼入れ温度に加熱すると面心立方(FCC)のオーステナイトになり、硬化してできたマルテンサイトは体心正方晶(BCT)・・・などに変化します。

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【補足説明】
体心立方格子の模式図体心立方格子の原子配列の模式図体心立方晶
面心立方格子の模式図面心立方格子の原子配列の模式図面心立方晶

この図は1つの結晶を表した図であるが、体心立方=焼なまし材、面心立方=オーステナイト系ステンレス、体心正方=焼入れしたマルテンサイト状態・・・と結晶構造が変わることでものの性質が大きく変わります。

この黒丸がFe(鉄原子)として、それがその他の元素に変わったり(置換)、このスキマに小さな元素が入り込んだり(侵入)、さらに、焼入れ温度から冷却する速度によって金属組織が異なったものになったり・・・と、鋼材の成分と熱処理によって様々な特性を持った鋼が生まれます。

結晶構造・元素・原子の話

鋼は鉄と炭素の合金です。もしも、Feだけであれば、電子顕微鏡で見ると、規則正しく並んだ上記のような結晶構造が見えるはずですが、 炭素その他の不純物を含まない高純度の鉄は製造が困難ですし、また、それを作る必要性もあまりありませんが、そのうち、炭素が0.01%程度以下のものを、 イメージ的に純鉄と呼んでいます。

純鉄は、常温では、上の体心立方晶bccになっており、これを加熱していって、鉄炭素2元状態図に示されるように、 それが910℃程度以上の温度になると、上記の面心立方晶fccの結晶構造に変化します。

この面心立方晶になったものを、ガンマ―鉄とかオーステナイトと呼ばれます。 それを徐々に徐冷していくと、910℃あたりの変態温度以下では、元の体心立方晶bcc に戻ります。これをアルファー鉄やフェライトとも呼ばれます。
このような「相変化」を、熱処理では「変態(へんたい)」と呼び、その温度を「変態点」と言います。

純鉄のような純粋な物質の結晶は、上記のような基本格子(セル)がずっと連なった状態になっているとされていますが、当然、通常の鋼では、 黒丸の原子が、Fe以外の原子に置換されていたり、侵入型といわれる小さな原子が間に紛れ込んだり、転位とよばれる、きっちりと並んでいない状態のなっているでしょう。

さらに、市販の鋼種になると、数種類の元素が含まれますし、不純物と言われる元素も含まれます。
こうなると、それらが化合して合金になっているのか、混合状態なのか、 はたまた、均一なのか不均一なのか・・・などは実際の鋼では、よくわからない状態になっているといってもいいでしょう。

このように、わからないことがあるために、鋼としての未知の可能性が広がっているということかもしれません。

物質を分解していくと、「元素」に行きつきます。「元素記号」というように、1種類の元素が単体で成り立っている物質が、純物質ですね。
これは、物質を性質から見て最小限のものが元素ですよ・・・という概念的な分け方ですが、もしも鋼が、鉄Fe・炭素Cだけの合金であれば、 鋼は2つの元素が化合している「化合物」になっている・・・といえます。

次に「原子」から見る見方があります。
原子は物質を構成する要素で、物体を分解していくと、「原子」に行きつき、鉄鋼も、プラスチックスも、 原子の集まりであって、その原子は、原子核と電子がある・・・と一般的に説明されます。

つまり、物質の成分である元素は、原子の集合体ですよ・・・という感じでしょうか?  現在の原子物理学では、その原子の中身をもっと細かく解明されているはご存じでしょうが、熱処理で説明される範囲では、 「ある元素(ここではFe)の原子が並んでいる様子を示している」ということでいいでしょう。それが、上で示された図ですね。(@_@)

ここで上の図を見ることにしましょう。上の右側の黒い丸を1つの鉄(Fe)の原子としますと、鉄原子の領域は、左図の球形は、 1つの原子が占領している「持ち分」を表している・・・という感じでしょう。

右図にある黒丸を結ぶ線が「格子」で、黒丸と格子で囲まれる面を格子面と言います。この「丸」の並び方は、X線解析によって調べることができますが、 もちろん、実際には、このような格子面や格子線はありませんが、理解しやすいようにしたものです。

・・・以上が、イントロ部分ですが、これに熱処理に関する内容を加えます。
炭素量が0.01%程度以上になれば、鉄と炭素の合金の「鋼」として性質「熱処理で硬くなる性質」がでてきます。

その鋼を、ゆっくり冷やすと、 bccになりますが、ゆっくりと冷やすのではなく、fcc状態(すなわち、 焼入れするために加熱した状態)から急速に冷却すると、bccではないbct(体心正方晶)が晶出します。
これが硬い「マルテンサイト」です・・・と説明されます。

もちろん、炭素量によってその晶出割合も変わるのですが、そうなると、「焼きが入った状態」になって、硬くなります。

これを熱処理的な温度変化的な要素を加えると、「鋼を加熱してA1またはA3変態点以上にある状態では、オーステナイト(ガンマ―鉄)という面心立方晶になっていて、 それが徐冷されると、先ほどの変態点を経て体心立方晶に変化しています。

しかし、 オーステナイト状態にある鋼を焼入れ(急冷)することによってマルテンサイトという組織 (体心正方晶)に変わる・・・」というように説明になります。

この体心正方晶は、bccのように、格子長さが同じ(等軸晶)ではなく、1方向(たとえば、高さ方向)が長くなったものですが、 このbccまたはbctとfccを見比べると、明らかに面心立方格子fccのほうが、原子が 多くて詰まっているようですね。 ここがミソなんですが、セル(四角い区切り)1個に含まれる原子の数を見ると、bccでは「角にある1/8個を受け持っている原子」 x  「8か所の角」の1個と、 中心にある1個の「合計2個」であるのに対して、fccでは、「角にある1/8を受け持っている原子」 x 「8か所の角」の1個と、 「面で1/2ずつ受け持っている原子」 x  「6か所の面」の3個で、 合計は4つになっていて、セルに占める原子の数が違うのです。 この、余ってきた原子はどうなるのでしょうか・・・ということを考えると、「体積が変化したり、硬さなどの性質が変化しそうだなぁ」とイメージできると、 少し、熱処理変化が見えてきそうな感じがしませんか? 

このように、無理やり詰め込まれたことでストレス(=硬さ)が高くなる・・・というように私自身が勝手にイメージしているのですが、 つまり、私自身の理解の仕方としては、fccとbccでは、各格子に占める元素の個数が、違っていますので、 fcc→bccになると、 なんとなく原子が余ってきて、大きさが決まった品物の中で 原子を詰め込もうとするので、体積が増えるか、 そうでなければ、満員電車に人が押し込まれたように、 ぎゅうぎゅうになり、押し合いますので、鋼の場合は硬くなる・・・というように考えています。(これは、まったく、個人的な覚え方です)



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