空冷 (くうれい)      [k35]

加熱後に空気中で放冷することをさします。

扇風機(ファン)を用いて冷却速度を早めたり、早く冷却する場合も多く、これは、ファン空冷や衝風空冷などと言われることもあります。

焼入れの場合は「空気焼入れ」と呼ばれますが、非常に焼入れ性の良い鋼の場合は、急冷による変形を少なくするために、この遅い冷却をします。

焼ならし(焼準)も空冷による冷却をしますが、この場合は、鋼の表面と内部の組織を均一化させるために、あえて急速な冷却をしないというための操作です。


しかし、これらの非常に焼入れ性の良い鋼でも、焼入れの冷却が遅くなって、充分な硬さが出ない場合は油冷する場合もしばしばでてきます。

硬さが十分に出ても、じん性の低下等が顕著になる場合もありますので、空気焼入れ鋼は空冷するというように画一的に考えないで、、臨機応変に熱処理しないといけません。


(大同特殊鋼DC11のカタログから引用)  

余談ですが、この鋼種は、通常、60HRC程度の硬さで用いることが多く、焼戻し温度も、200℃前後での製品が多いのですが、グラフでは、300-400℃のじん性の数値が良好です。
これを見て、硬さが若干下がっても、300℃の焼戻しをした製品のほうがいいのでは?という考え方が出てきますが、どうなのでしょう?
色々な考え方があるのですが、私なら、「きっちりと熱処理されていれば、目的の硬さの200ど焼戻しでいい」と回答します。
通常の依頼熱処理品では、そのような硬さを要求されることは少なく、このような傾向になるのは、残留オーステナイトが影響しているのですが、これは1つの試験結果であり、通常の品物とは違いますし、シャルピー値の0.5の違いは、大した違いでないですし、引張強さの回復度は大きいのは考えどころですが、本来、DC11は耐摩耗を要求する鋼種ですので、もし、大きいじん性がほしければDC53などの材料を使えばいい・・・という考え方からこのような回答をしています。実際には使って試してみればいいのですが、私の経験では、「硬さ」で寿命が決まることが多いのですが、こういうことを図表から考えるのも面白いことですし、これを考えることで寿命改善に役立ちます。(閑話休題)

工具鋼では、焼戻し時の冷却は空冷することで良いとされています。しかし、構造用鋼などでは、焼戻し脆性域をすばやく冷却するために、水冷や油冷を奨励している場合が多いようです。

工具鋼について、焼戻し後は空冷されているのが通例ですが、この理由については、工具鋼の焼入れ工程と残留オーステナイトの問題が関係します。

小さな試験片の焼入れとは違って、実際の品物では、変形や割れ、硬さや組織調整などのためもあって、教科書どおりの焼入れは行われないことも多く、とくに、1回目の焼戻し後の冷却時に割れや変形が生じる可能性が高いので、急冷は避けたほうがいい場合が多い・・・などの理由が考えられます。



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