金属顕微鏡 (きんぞくけんびきょう) [k32]
生物組織の観察などで使用する顕微鏡は透過光を観察しますが、金属の組織を観察するために用いられるのは、反射光を観察するための顕微鏡です。
金属組織の観察では、50~1000倍程度の観察が一般的です。
近年では、デジタル機器を連動させて写真や画像観察するものも多くなっています。
写真協力:第一鋼業(株) 左はニコン製の金属顕微鏡、右はキーエンス製のマイクロスコープ
いずれも、生物の観察などで用いられる透過型の顕微鏡と異なり、金属面から反射した像を観察します。
このために、金属組織を見る用途のものでは、観察しやすいように、ステージに品物を置いて用いる、倒立タイプのものが多いようです。(上の写真左)
上左が倒立型金属顕微鏡で、50倍から1000倍程度の組織観察に用います。 右は正立タイプの「マイクロスコープ」と呼ばれる、従来の金属顕微鏡よりも、さらに高倍率で画像処理機能が備わった機器です。
正立タイプでは、検鏡面を光軸に垂直にする必要があるのですが、最近では、写真右のように、正立タイプであっても、光軸を傾けたり可変アタッチメントなどを使い、電子的に画像処理をして見やすくなるように工夫されたものもあります。
PR観察する方法は、観察したい金属試料を鏡面研磨した後に、適当な腐食液を用いて表面を腐食し、それを肉眼で観察するのが通常の方法です。
近年では、パソコンやデジタルカメラなどによって、モニター上で観察できるようになってきており、さらに、様々な画像処理ができるようになって観察能力も高くなってきています。
上右の正立型のマイクロスコープと呼ばれる光学機器では、実体顕微鏡と金属顕微鏡をあわせもった機能があり、さらに3000倍以上の高倍率で強力な画像処理機能が備わっています。
これらは特に、金属組織の調査などには欠かせないもので、腐食の有無、偏光を用いた観察などでいろいろな金属の組織や割れ、外観などの画像情報を得ることができます。
ただこのように、近年は、画像処理技術の発達で、便利な機能が増えているのですが、逆にいうと、いろいろな観察状態や見え方が変わってきたり、強調するなどが簡単にできるようになりました。
そのために、使い方を間違うと、一般的なものと乖離してしまう場合もあり、客観的な評価が妨げられる危険性もあります。
現実的のは、熱処理の状態を観察する場合などでは、見慣れた倍率で観察するほうがいいので、高倍率のものは必要ありませんが、解像度の良いものが使いやすいでしょう。
ともかく、金属組織の観察や判定には、今までの経験と、積み重ねの熟練が必要になります。
たとえば、事故の原因調査などで、顕微鏡組織を観察して、事故原因の推定や工程の是非の判定などをする場合などには、鋼材や熱処理を熟知するとともに、いろいろな組織を見慣れておいて、正確に判断や判定ができるようにしなければなりません。
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