回復(かいふく)         [k04]

回復とは、冷間加工した鋼を、再結晶温度以下に加熱して、組織の変化を少なくした状態のまま機械的性質などをもとの状態に近づける処理のことです。

熱処理では、低温焼なましをすると回復の状態になる・・・と説明されます。 

英語では Recovery で、「リカバリー」と言われることもあります。


鋼を常温で冷間加工すると、加工硬化することによって、硬さ(引張強さなど)が増加し、伸び、絞り、じん性等が低下します。また、結晶粒の変形によって電気抵抗が増し、電気伝導度などは低下します。

そのような「加工された状態」から、鋼を加熱して温度を高めていくと、それがもとの状態に戻っていきます。それが「回復」です。

この加熱によって、元の加工前の状態に戻る過程は、加工によって生じた結晶配列中の格子欠陥が温度によって元に戻る過程でそれが減少する・・・などと、「転位」の考え方で説明されることが多いようです。

「回復」は、下図のように、温度とともに進みますが、それに応じて強さやじん性が元の状態に近づく・・・と説明されています。

熱処理での説明では、『再結晶化(Recrystallization)』の促進で回復現象が生じるとして、熱処理方法の「軟化焼なまし」「低温焼きなまし」などの目的としてこの回復過程が説明されています。

ここでは下の図を簡単に示します。

塑性変形の組織の回復の模式図

焼なまし状態の鋼を冷間加工などで変形を加えると、その組織(結晶粒)は、図の左側のように、細く伸展して状態になっています。

それを、200℃程度までの加熱をすると、上図のように転位が変化する「回復(Recovery)」があり、それ以上の温度になると再結晶(Recrystallozation)によって、結晶粒が変化する様子がこの図で示されています。

その状態から、さらに温度を上げると、結晶粒が成長(Grain growth)してい区という、3段階の変化が図示されています。

冷間加工された状態では、加工硬化によって応力が高くなった状態(硬さが上昇している)のものが、温度の上昇とともにそれが平準化され、加工前の状態に戻っていく過程でもあります。

ここに示した温度範囲では、硬さは高温になるほど低下し、元の焼なまし状態の硬さに近づいていきますが、再結晶の時点で大きく硬さが変化(低下)します。

さらに温度を上げて、鋼の変態点を超えるオーステナイト温度域になると、結晶構造が面心立方に変化して(これは相変化で、「変態」とも言われます)、結晶粒が小さくなりますが、ここではこの説明の範囲外のことですので、説明はしません。

このことから、「回復」は変態温度までの変化の過程と考えると、軟化のための焼なましは、変態点にかからないように、500-750℃程度の、できれば高めの温度で行のが硬さが十分低下するので効果的だと言えます。

冷間加工によって大きく変形した結晶粒が、加熱することで小さな結晶粒に変化する「再結晶」は、結晶粒内にある亜結晶粒界(疑似的な結晶粒界)から新たな結晶が生成するとされています。



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