熱処理用語の解説

ポリマー焼入れ剤 (~やきいれざい)  [h41]

これは、「水溶性焼入油」「ソリブル」などとも呼ばれます。

ポリアルキレングリコールなどの水溶液などの高分子化合物で作られており、その濃度を変えることで冷却能を調整できますし、焼入れ油のように発火性がないという利点があります。

高周波焼入れでは多用されていますが、これは、水冷よりも若干遅い冷却になるようにするために広く使用されています。

一般熱処理では、焼入れ油に変わるものが求められているのですが、大容量の使用量になるので、濃度や冷却性能の管理面などで難点もあって、焼入れ油に変わって使用されている状態には至っていないのが現状です。

これを使用する長所は、可燃物ではないという点です。

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焼入れ油は消防法では危険物の扱いなので、大量に取り扱うには注意が必要ですし、いろいろな規制や制限が発生します。

それに対して、ポリマー焼入れ剤は、消防法の危険物ではないために、量的な制限を受けないという特徴があります。

さらに、焼入れ油は、品物や環境の汚染の問題と、それを除去するための後処理の問題があるために、焼入れ油に代わるものが求められているのですが、一般熱処理用のポリマー冷却液は、濃度や品質の安定性の面で焼入れ特性が不安定になりやすいことから、私が勤めていた第一鋼業(株)でも数年使ったのですが、うまく使いきれなかった・・・という経緯があります。

このときの難点を上げれば、少しの濃度変化で急激に冷却特性が変わるために、その管理が大変で、特に構造用鋼では安定した熱処理ができなかったことや、さらに、焼入れ作業中に飛散する「におい」が不評だったために、結局、普通の焼入れ油に戻ったようです。

しかし、高周波焼入れでは常用されていますし、研究や対策も進んでいるでしょうから、焼入れ油を使わないようにしたいという要望は強いので、常に、動向には着目しておく必要があるでしょう。


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(来歴)R1.9 見直し   R2.4 CSS変更   最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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