ある組成の合金の温度における 組織や相などを示した図を「状態図」といいます。
さらに、ある温度で合金の状態が安定した状態になっている状態図を「平衡状態図」といいます。
鋼の熱処理に関する説明には、下図のような、鉄-炭素の2元系(2元素)の平衡状態図が用いられことが多く、これは「鉄-炭素の2元系平衡状態図」と呼ばれます。

これと同様の図は、いろいろ作成されており、微妙に表示されている数値が異なっていますが、どれが正しいというものでもありません。
これが作成された試料に含まれる、鉄と炭素以外の微量な元素の影響や鉄(Fe)と炭素(C)に替えて「鉄と黒鉛」での状態図が作られているものなどもあるので、熱処理の説明などで使用する場合は、そのわずかな違いを気にする必要はありません。
熱処理で出てくるところは、上図の丸印のあるところが重要になります。
この図は 鉄-炭素2元系平衡状態図ですから、例えば、この図から、0.5%Cの鋼について見てみると、1000℃の状態では、「オーステナイト」という組織になっているということがわかります。
実は、それだけのことがわかる … というものです。
また、G・S・E点は、その点の組成と温度で組織が極端に変化しているなどで重要なところです。
熱処理の説明では、G点は共析点で、約0.8%炭素鋼(共析鋼:上の図では0.77%Cとなっています)を800度程度からゆっくりと冷やすと、組織の視野全部がパーライト組織になるなどの説明をされます。
また、熱処理のための加熱温度は G-S-K の線以上の温度に加熱するという説明もされますし、 オーステナイト化温度と結晶粒度の関係は G-S-Eの線 の30℃程度上の温度で加熱する … などの説明で使われます。
鉄鋼の熱処理では、炭素量が2%以下(上図によると、E点の2.14%以下)のものしか扱いませんから、この図で重要なところは、「オーステナイト」部分とA1・A3と書かれた変態線(G・S・Kを結ぶ線)が基準になるというところを見ておく程度でいいでしょう。
つまり、熱処理の説明では、上図の「G~S~K」の温度の線での組織変化(変態)について重点的に説明されます。
ただ、この図は平衡状態図ですので、これに温度変化などを加えて説明することは変なことなのですが、便宜上、この図を用いて、熱処理操作(温度の上げ下げ)を加えて説明されていることも多いようです。
たとえば、「ある成分(たとえば0.45%C)の炭素鋼を焼入れするときには、850℃の温度に加熱して、オーステナイト状態にした後に、水冷することで … 」というような熱処理の説明をする時に、この図が用いられることもあります。
また、この図で、炭素量が2%程度(この図では、2.14%のE点)を越えると、鋼ではなく、鋳物の領域になりますので、鋼の部分だけを部分的に示して熱処理の説明に用いられる場合も多いようです。
少し詳しい状態図の見方考え方はこちらの記事にもあります。

