プリハードン鋼 (ぷりはーどんこう) [h27]
すでに熱処理済みで、硬さが調整されて販売されている鋼材のことをプリハードン鋼といいます。
多くは、機械加工ができる硬さ(45HRC程度以下)のものが主流で、熱処理による変形などを嫌う金型に使用されるのですが、通常の焼きなまし状態の鋼よりも硬いので、加工は大変です。
プラ型(プラスチック成型用金型)鋼や鍛造型鋼などがあります。
プロテリアル(旧:日立金属)さんではHPM**、大同特殊鋼さんではNAK**などのように、プラスチック金型用に専用の鋼種が販売されています。
通教の熱処理硬さも表記されています。
通常はそのまま機械加工(研削加工)をして使う用途向けの鋼種で、強い圧縮が必要な冷間加工用や金属整形用型材にはそのままの硬さでの使用には向いていないので、そのような用途用のプリハードン鋼はありません。
プラスチック型では高い硬さが必要でないものも多いので、しばしば、オーステナイト系のステンレス鋼をそのまま機械加工して使用する場合もありますが、これらはプリハードンとは呼ばないのが通例で、焼入れ焼戻しをして、硬さが焼なまし状態以上に高くした鋼種をプリハードン鋼と呼称しています。
PR
プリハードン鋼が用いられる大きな理由は、機械加工後に熱処理をすると、変形や熱処理層の除去に追加の工程が必要で、その時間ロスや加工費用が生じるので、それを低減できるのが大きいという理由が主なようです。
ただ、50HRC程度の硬さを越えると機械加工が大変なために、販売されている鋼種は、それ以下の硬さのものがほとんどです。
熱間鍛造型などでは、鋼材店の在庫をした熱処理済みの鋼材(型材)が常時保有されており、これらは古くから流通しています。
これらはプリハードン鋼という呼び方をしていないものもあります。
これらの用途としても、焼入れ・焼戻しされた状態で機械加工してそのまま型材として使用されます。
(来歴)H30.11 文章見直し R2.4 CSS変更 確認R7.4月