プラズマ熱処理(ぷらずまねつしょり)について [h26]
グロー放電によるプラズマを用いる熱処理の総称を「プラズマ熱処理」といいます。
これには、プラズマ浸炭・プラズマ窒化がありますが、イオン窒化もこのような状態を利用しているのですが、はっきりと用語が定義されていないところもあります。
「プラズマ」は、気体分子が陽イオンと電子に電離した状態のことをいいます。
熱処理に利用できるように、その状態を作り出すには、品物を容器内に入れて、真空に近い状態まで減圧してから、品物を陰極(マイナス極)にして ~1000V程度の電圧をかけると電子が電離している高エネルギーのプラズマ状態になります。
自然界では、太陽の内部、雷、オーロラなどでプラズマ状態になる場合があります。
この状態は高エネルギーの状態であり、このプラズマの高エネルギーを利用して加熱や雰囲気ガスとの反応をさせるのを「プラズマ熱処理」といいます。
プラズマ熱処理では、プラズマの熱だけで加熱して処理する場合と、電熱ヒーターなどを用いて補助的に品物の温度をあげてから、プラズマ状態でガスとの反応を起こさせる場合など、加熱の様式は様々です。
PR
例えば「プラズマ窒化」と呼ばれる熱処理は、減圧した容器内でプラズマ放電を利用して500℃程度の温度で鋼に窒素を反応させて表面を硬化するなどの処理をいいますが、プラズマ放電時に発生する熱を利用して品物の温度を上げるタイプの装置とともに、ヒーターなどの補助装置で加熱して窒化処理をする装置などがあります。
このプラズマ状態は、厳密にいうと電気的に中性ですので、これとは別の、電離粒子を加速する「電子ビームやイオンビームなどによる加熱や熱処理」は「プラズマ熱処理」とは別に分類されることが多いようです。
この分類や命名はメーカー各社で行っているので、熱処理用語的にははっきりしないところもある感じがします。
(来歴)H30.11 文章見直し R1.11見直し R2.4 CSS変更 R7.8月見直し