微小硬さ(びしょうかたさ) [h13]
測定荷重が200g程度以下で測定される硬さを微小硬さといいます。
よく使われるのは、ヌープ試験機、マイクロビッカース試験機で、通常の熱処理では、マイクロビッカース微小硬さ試験機を使って測定するものを指す場合が多いようです。
マイクロビッカース硬さ試験は、ビッカース硬さ試験を低荷重で行うようにした試験機で、通常、鏡面仕上げをした測定面に四角錐のダイヤモンド圧子を押し込んで圧痕を顕微鏡で拡大して対角の平均寸法を測定して、その大きさから硬さを算出するものです。
自動で硬さが表示される試験機もありますが、顕微鏡で計測した数値は、換算表を利用して、簡単に硬さがわかるようになっています。
この図は、試験機メーカーの(株)マツザワ様のHPにある図を利用しています。
この試験機は、焼入れ品の表面からの硬さ推移などの微小部分の硬さ測定などに用いられます。
10グラム以下と非常に軽荷重で測定する場合もありますが、硬さが高いと圧痕が小さくなるので、焼入れした鋼の場合では、100-300g程度の荷重で測定することが多いです。
通常は測定物は小さく切断して、樹脂などに埋め込み、鏡面研磨をした表面を測定します。
被測定物の硬さが高い場合は圧痕の大きさが小さくなるので、荷重を変えたり測定位置をずらすなどで、表面からの硬さ推移(硬さ変化)を測定します。
測定例(協力:第一鋼業)
これは、各種の表面処理をした場合の表面からの硬さ変化を見たものですが、このような表面硬さの推移やその変化の深さを知ることができますが、品物の断面を切断して、さらに、その表面を鏡面に仕上げる必要があるので、通常の熱処理検査で行うことはほとんどありません。
近年は一連の測定作業が自動化されている機器もあります。
特に、圧痕径を目視で読み取るには熟練が必要であるので、それらを自動化することで、硬さの精度向上が図られてきています。
(来歴)H30.11 文章見直し R1.11 見直し R2.4 CSS変更 最終確認R6.1月