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硬さ換算表はなくてはならないものになっています

硬さ試験機による相互の硬さを換算するための数表を「硬さ換算表」といいます。

JISには硬さ換算について規定されていませんが、SAE-J-417による硬さ換算表がJISハンドブック巻末などに掲載されています。

ここには、ロックウェル・ビッカース・ブリネル・ショアーの相互硬さの換算値に加えて、引張試験値(引張強さとの換算値)が掲載されています。

ただ、詳しくみると、微妙に数値が異なっているのが気になります。

しかしこれは厳密なものでないので、「こんなものだ」という気持ちで用いればいいものです。

また、SAEのものとは違う、いろいろな換算表が使用されており、どれが正式なものでもないので、「これを使いますよ … 」と決めておけば問題ないもので、うまく使うと非常に便利なものです。

この換算表には、さらに、引張強さの近似値が加えられて掲載されています。

これは、「硬さは強さとの相関がある」ということですから、これも、いろいろなことに使えて便利です。

熱処理の品質は硬さ検査で判定します

昭和年代には、熱処理試験として、機械試験(引張試験など)がしばしば行われていました。

しかし最近では、特殊な重要部品以外は、硬さ検査で代用されるようになっています。

引張試験をする際には、試験片の硬さを測るのが慣例的に行われていますが、構造用鋼などの低合金鋼では、この硬さと引張り強さは、換算表に非常によくあっています。(もちろん、表面と内部の硬さが異なったり、材料欠陥がある場合などは合致しませんが … )

換算表の数値は微妙に違っています

このSAEの換算表には、基準の硬さに対する数表が掲載されていますが、それぞれをよく見ると、表ごとに若干数値が違っていることに気づくかもしれません。

特にショアーについての数値が微妙に違っています。

ショアーについても、近年は硬さのトレーサビリティーがしっかり取れるようになっているので、もう少し厳密にしてもいい感じですが、何しろ、外国の規格ですので、どうしようもできませんね。

もちろんこれは、上にも書きましたが、「これらはあくまで換算値であり、便宜的なもの」と割り切って使用するというものなので、厳密で絶対的なものではありません。

アメリカのほうが柔軟?

日本でもそうですが、米国においては 「硬さ」は古くから商取引に欠かせないものであったこともあって、これらの換算表が作られて慣用的に使われてきた歴史があるのですが、JISの考え方にそぐわないところがあったので、JIS規格として制定されなかったようです。

私がJIS認定工場になるための仕事をしていた1975年ころは、換算などはとんでもないことで、「硬さは指定された試験機で測定する … 」ということが原則でした。

「硬さは、決められたもので測定する」という考え方です。

それが、平成年間にISO9001の認証時には、「きっちりとした対応ができておれば問題ない … 」というスタンスに変わっていました。

現在は、JIS規格はすべてISOに準拠していますから、逆に言えば、現在は換算することの問題はないといえますし、換算値であることを明示しておれば問題はありません。

日本でもいろいろな硬さ研究がされてきました

日本でも、古くから、工業技術院の硬さ研究会さんなどで、地道に硬さ換算や硬さの研究が行われてきており、それらが作成した換算表もあって、概ねSAEのものと合致していた記憶があります。

ただ、改めてそれをJISとして規定しにくいということもあってか、SAEの内容がそのまま掲載されているようです。

「硬さは、指定された試験機で測定する」というのは本来の基本です。

しかし、お客さまの「硬さ指定」が優先されるといっても、大きな品物でロックウェル試験機が使えないですし、ブリネルの大きな圧痕も困る場合もでてきます。

この場合などは、お客様の了解でショアー試験機で試験するしかしかたがありません。

また、少し失礼ないい方かもしれませんが、図面や仕様書を書く技術者や設計者が、硬さやその試験方法に熟知していない場合も多いですから、うまく換算表を使って品質の確認をするのは間違っていないと思っています。

このことから、JISの標準を作成してもに問題は起きないと思うのですが、JISのISO化などもあるので、そこまでして、いまさら規格化されることはないという感じで、今後もJISとしては制定されることはないと思っています。

私の使ってきた換算表

私の勤務していた第一鋼業(株)さんでは、大きな品物はショアー硬さを、それ以外の加工品はロックウェル硬さで検査することが多かったので、古くから、ロックウェルとショアー硬さ値を0.5毎に丸めた換算表を独自に作成して使用していました。

もちろん、硬さのトレーサビリティーが取れるように管理されています。

独自に作られた、使いやすい換算表を半世紀以上にわたって使用していますが、これによる顧客とのトラブルは起こっていません。

その硬さ換算表などはこちらから参照いただくといいでしょう。

換算表は常時成り立っているのではありません

どういう場合にでも換算ができるというものではないことについても留意しておきましょう。

例えば、換算表には、通常、適用するときの以下の注意点などが書かれています。

①換算表は幅広い鋼種の近似的なものであるということ  ②オーステナイト系ステンレスや冷間加工したものは不可  ③滑らかな表面であること  ④表面焼入れ品などは不可で、十分な厚さがあること  などですが、「こういう注意点もある … 」ということを頭においておくといいでしょう。