自己焼戻しとは、焼入れの過程で、品物の持つ内部の熱により焼戻しが進むことです。
または、それを利用して焼戻しすることをさします。
オートテンパーまたはセルフテンパーともいいます。
言葉の意味は上記のような内容ですが、熱処理作業に従事する作業者に対しては、「これが生じるような熱処理をしてはいけない」という説明をされます。
この「いけない理由」について、説明します
一般熱処理における「焼入れ」では、大きな品物を油冷中に、表面と内部の温度差を少なくするために、しばしば、冷却途中に油槽から引き揚げるという熱処理方法が取られます。
その際に、その操作(引き上げ温度や引き上げ時間)を誤ると、焼入れ変態を開始している部分が内部の熱によって加熱されて焼戻し状態になってしまうだけでなく、変態の状態が変わることで割れや硬さムラが生じる場合があります。
この状態を避けるために、自己焼戻し状態にならないように … という注意の喚起をされます。
自己焼戻しが生じやすい例では、鋼板製造中の圧延工程やホットスタンプ加工で成形する際に、自己焼戻しによって品物が再加熱される状態が生じる事があります。
このような場合も、本来の特性と異なる特性になってしまう場合が出てきます。
このように、焼入れの冷却過程で昇温過程が加わると、(特性的に良くなるとか悪くなるというのは別にして)通常の焼入れをした場合とは機械特性が異なってしまう場合も出てきますので、特に熱処理作業(従事)者は、自己焼戻しによって焼入れなどの冷却中に再加熱されることのないように注意しなくてはなりません。

