鋼の仕上がり面で、肉眼で見える程度のピンホールやブローホールなどの、鋼の表層や内部にある非金属介在物や砂などの異物によって生じる鋼材の欠陥を「地疵(地きず、地傷、地キズ)」といいます。
通常は、製鋼過程で生じたものをいうので、加工傷や割れはこれには含みません。
近年は、製鋼技術の向上で、この欠陥に遭遇することも少なくなりました。
皆無ではないが、後工程で見つかる場合もある
地きずなどの内部欠陥があると、機械加工をしているときにキリコ(切り粉)が途中で途切れたり、その形状や出方が通常とは異なる … などで、見つかる場合があります。
鋼材に地キズや微小割れなどの異常があれば、機械加工するときに、熟練者が気づくことは意外に多いものです。
このような「人間の感覚」は、非常に重要ですね。
現在では、出荷される鋼材は探傷検査などで全数検査されている場合が多いし、圧延肌の材料であれば探傷検査では発見されないか、判定基準に満たないものは「合格」となっていますが、皆無ではなくても、ほとんど、後工程に影響ないという判断です。
だからもちろん、表面に露呈していない内部の欠陥は検査基準にかかりませんし、一部分に偏在する欠陥の、工程検査では判明されないこともあります。
もちろんそれらは受入検査をしても見つけるのは容易ではないので、機械加工時に異常のあるなしを判断する意義は大きいといえます。
不良品はメーカーに返せばいい
このような状態で発見された場合のほとんどは、調べてみると、明らかに非金属介在物の規定から外れているのですが、経験的には、かなりの鋼材を扱っていましたが、少量品種の工具鋼などで、数年に1回程度異常が報告される程度です。
大量生産されている構造用鋼など、ほとんどの鋼では品位が高い上に、品質検査が厳格なこともあって、ほとんど考えなくていいほどに高品質になっています。
だから、鋼材の出荷検査精度や現状以上の高品質をメーカーなどに要求する必要もないといってよいでしょう。
加工中に不良品が見つかればその時点でメーカーに返品すればいいのです。
工具鋼や特殊な鋼種では多品種少量加工が多いために、自動で無人加工するケースが比較的少ないことから、熟練作業者の勘で加工中の異常に気づくことが多いのですが、自動化された大量品の加工では鋼材の異常に気づきにくいかもしれません。
このように、機械加工時の加工者の知識や経験や勘が欠陥を発見したり鋼材の異常に気づく場合がしばしばあります。
熟練した作業者は、焼きなましの不具合や調質品の硬さ分布や組織の状況などを五感で感じて、切り込み量や回転数を調整して作業しています。
このような感性を高めることは大切ですので、特に、新入者などには、OJTなどでこのような知識について教育していくことは大変有意義で重要なことです。
