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JISの熱処理の用語と業界用語

熱処理用語を簡単に知ろうとするとわかりにくく感じるかもしれません。

熱処理用語についてはJISハンドブックなどに簡単に説明されていますし、日刊工業から2002年版で「熱処理用語辞典」(→こちら) などがあるので、それにある内容で理解すれば間違いがないのですが、いずれも内容が新しい感じがしないのでオススメするものでもありません。

でも、鉄鋼の熱処理関連の新刊も少ない状態なので、熱処理技能士用のテキストにも使われる、「熱処理ガイドブック」¥4400  や、新刊ではなくH9年版ですが「熱処理技術入門」 などで用語を探して読むのがいいと思います。

書店で手にとって見ていただくのがいいですが、読んだだけで理解しにくいところもあって、あえてオススメするものではありません。

ともかく、鉄鋼の熱処理関連の新刊は少ないようです。

比較的、見直されて改定されている書籍

熱処理技能士用のテキストにも使われる、「熱処理ガイドブック」「熱処理技術入門」 などは、見直し改定が行われてているので、それで用語を探して読むのはいいと思います。

それもあって、JISなどとは違う切り口でこのHPを書いていますが、いずれにしても、鉄鋼の熱処理自体がローテクであまり技術的進歩もない分野なので、今後も、新刊書などは期待できない感じもします。

さらに、JIS規格票も、定期的に見直されているといっても、書籍以上に読みにくいので、自分で、「熱処理用語はこんなものだ … 」と考えて学んでいくしかないのかもしれません。

熱処理関係JISは古くから内容が変わらない

熱処理関係のJISは、1960年代の熱処理工業会のJHS規格などが基準になっていて、JISが制定された当時の現場の都合も強かったのか、かなり特殊な表現や死語になってしまっているものも残っています。

よく話題になる例ですが、「焼入れ・焼戻し、焼なまし」なども、ワープロで打つと 「焼き入れ、焼き戻し、焼きなまし」というように、JISとは違った変換がされてしまう場合がありますが、これも旧規格の名残です。

JISでは「焼入焼戻し」「焼なまし」という表現ですから、これらも馴染むしかありません。

さらに、現在でも、鋼材関係や熱処理業界では、特有の業界用語が使われて、熱処理の現場では生きています。

例えば、焼入れのことをマルエッチ、焼ならしをマルエヌ … などは、鋼材を扱う会社では、普段の取引や会社内でもしばしば耳にするかもしれません。

このHPでも、内容の多くが機械構造用鋼を対象にしたものが多いので、現実には、「知らなくてもいい用語」が多い感じがしますが、これも、取捨選択するしかないでしょう。

以下に、今でも生きている、少し特殊な用語の一部を紹介します。

熱処理現場ではSI単位系より、cgs単位系

【熱処理で使用される単位】
現在は、「SI単位系」に沿って単位を表示しなければならないのですが、まだまだメートル法時代の[cgs単位系]が根付いています。

熱処理に関係する基本単位は、 「長さ」「質量」「温度」「電流」「時間」程度ですが、そのうち、未だに、質量ではなく、当然のように「重量」ですし、温度はK(ケルビン)ではなく「℃」が使用されています。

さらに、例えば、焼き戻し硬さを比較するために、500℃付近の温度をよく使うために、 「500℃、525℃、550℃」で試験結果を表示するものなどが多いのですが、現実的にはそれが便利なのはたしかですが、熱処理文献などでは、「773K、798K、823K」と表示されるようになってきています。

それを 「750K、775K、800K」という「キリのいい温度」に変えてもいいと思うのですが、まだまだ替えるには問題があるということでしょう。

熱処理設備のほとんどが未だに「℃」ですので、 当分は、773というような「見にくくて変な表記温度」はなくならないのかもしれません。

しかし、過去に、尺貫法からメートル法になったときは、かなり短期間で変更されましたし、光速(光の速さ)の基準がメートル原器から波長の長さ、光の秒速・・・とどんどん変わっても、それが受け入れられているのですから、SI単位系に変わらないのは、「熱処理関係者の姿勢」の問題かもしれません。

熱処理業界はかなり頭が硬いのでしょうか? … というよりも、今でも現場で息づいているという「使いやすさ」なのでしょうか。

熱処理業界用語

丸棒鋼のJISに「熱間圧延丸棒鋼」というのがあります。

これに関する業界用語で、メーカーで丸棒鋼に圧延されたものを 「アズロール材(AS-role)」、メーカーが出荷するまでに、ある程度の強度に熱処理(調質)されたものを 「メーカーマルエッチ材」、 焼きならし済みのものを「メーカーマルエヌ品」などと呼ばれます。

当社の熱処理現場では世代交代が進んでいますので、次第に影を潜めつつありますが、焼入れしたままの状態の品物を「アズキュウ(AS-Q)」調質することを「マルエッチする」といった会話が交わされています。

JISの加工記号で、焼なまし=HA ・焼ならし=HNR ・焼入焼戻し=HQ-HT  と表記されますので、これらの業界用語も、お客さんを含めた関係者の間では、何の違和感もなく通用しているようですが、 真面目くさった顔で、 「マルエッチする」 「エッチする」と言っているのは「焼入れする」という意味です。

それを初めて聞く人には、不穏な感じがすると思うのですが、当事者は「知らぬ顔」なのが面白いですね。