高張力鋼板は、このHPの熱処理とは直接関係がありません。
しかし、鋼の硬さと引っ張り強さについて知っておくといい内容なので取り上げています。
「高張力」は、高い引っ張り強さがあるという意味です
高張力鋼板は、普通鋼板(JISでは、一般構造用鋼板に分類されています)の持つ引っ張り強さ(例えば、SS400では400N/mm2)以上の引っ張り強さがあり、溶接性を低下させる元素の炭素が0.01%以下のように、低く抑えられて、強くて溶接性の良い鋼板で、自動車用のボディーなどに用いられます。
高張力鋼板は ハイテン(High tensile strength steel)や高抗張力鋼板などと呼ばれます。
ただし、詳細な規定はないようで、「一般構造用圧延鋼材SS400の引張強さを超えるものが高張力鋼」 … という定義が一般的で、これも明確ではありません。
つまり、高張力鋼板に対する分類やとらえ方については統一されていないのが実情で、おおまかな定義では、加工性・溶接性などを維持しつつ、引張強さを高めた鋼板で、340N/mm2(35kg/mm2)程度以上の鋼板が高張力鋼板に分類されます。
溶接性の良さは炭素量が少ないこと
0.3%程度以上では溶接性が低下するので、さらに広義に、SS400以上の引っ張り強さの特性を持つ低炭素の鋼板を高張力鋼板と呼ぶこともあります。
近年では引張強さ980MPa以上の「超高張力鋼板」と呼ばれるものも開発されています。
鋼の場合は、引っ張り強さと硬さの相関があるので、この場合は、硬さも30HRCを超えていますが、それでも、溶接性がよい優れた鋼板が製造されています。
これら高張力鋼板の製造方法は、成分調整による強化のほかに、プレス加工や熱処理(焼入れのような急冷)を加えるなど様々な方法で引っ張り強さを高める工夫をして製造されます。
この高張力鋼板を使うことで、従来鋼板よりも薄い鋼板で強度を確保できる「軽量化効果」のほかに、政府戦略的には資源の節約や温室効果ガス削減につながることまでを想定して、その製造や使用が進められています。
高張力鋼板の優劣を評価する場合は、高い強度による重量の軽減以外に、じん性面での延性、展性、加工性での絞り性などもあわせて対象にして評価されます。
このような特徴を持つことで、自動車の軽量化などに貢献しています。

