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形状記憶合金の熱処理|熱処理で形状記憶効果が生まれる

形状記憶合金は、熱処理をしたのちに変形させ、その後に少し温度を加えると、元の変形させる前の形状に復元するという性質がある合金です。

形状記憶合金では、チタンとニッケルの合金で、「ニチノール」と呼ばれるNi55%-Ti45%の合金が有名です。

もちろんこれは、鋼ではないので、本来はここでの話題ではありませんが、鋼に関係ある用語が出てくるので、簡単に取り上げています。

同様の成分系の材料では、変形させた後にその外力を取り去ると、元の形状に戻る性質を持つ合金もあります。

この性質は「超弾性」といわれます。

これは、温度を上げなくても、常温で形状復元をする形状記憶合金といえます。

形状記憶合金は、低温ではオーステナイト状態の組織になっていて、外力を加えて変形させると、オーステナイトがマルテンサイト相になり、再び温度を上げると、オーステナイトに戻って、元の形状に戻る性質があります。

これを利用して、温度差を利用して作動するアクチュエーターやバネなど、いろいろなものに使用されています。

オーステナイト系ステンレス鋼の場合でも、このような相変化があります。

SUS304を溶体化処理をしてオーステナイト状態のものを、強変形させたり、-180℃以下の極低温にすると、一部がマルテンサイト化することがあります。

形状記憶合金は、その、オーステナイト~マルテンサイト~オーステナイトという変化が、100℃程度の温度変化で変わるというような合金ですね。

形状記憶効果や超弾性効果のある合金は、Ni-Ti合金の他、Ni量を調整したり、CoやCuなどを加えた合金にしているものが多くあり、熱処理をして、それを塑性変形させた後に-30℃から100℃程度の適当な温度にすると、もとの形状に回復します。

これを「形状記憶」と言っています。

 

形状記憶合金の熱処理

私が形状記憶合金を熱処理をした例では、加熱中の酸化を防ぐためにソルトバスで加熱して急冷して熱処理したのですが、ニッケル合金なので意外と耐酸化性が高いので、加熱保持時間は短時間でOKで、ソルトバスではなくて、空気中での加熱で問題ありませんし、温度に敏感でないので、家庭でも実験できます。

この合金に対する事前の熱処理は、500℃程度の温度から水冷するだけです

その後に、それを手で変形させ、変形したままの製品を100℃程度の温度(回復温度)に加熱すると、変形前の状態に戻ります。

市販品で遊んでみるのも面白いですよ

形状記憶合金の線材はWEBでいろいろな長さのものが市販されています。

 →(参考)楽天の形状記憶合金のページ

 →(参考)アマゾンの形状記憶合金のページ

それを使ってバネなどを作てみると、その変化を簡単に実感できます。

その方法は、バネなどの加工もいいのですが、最初は形状記憶効果を見るために、購入した直線のままでもいいし、バネなどに加工してもいいし、温めると動くアクチュエーターのようなものを作ってみるのも面白いでしょう。

バネのようなものに加工すると戻ってしまう場合には、650℃程度の焼なましをすればスプリングバック対策になります。(やらなくてもいいです)

製作手順も簡単です

①10~15cmに切断したもので実験してみましょう。 → ②熱処理(450-500℃に加熱後に水に入れて急冷します) → ③この状態で製品が出来上がっている状態です → ④これを引っ張ったり縮めたりして変形させます → ⑤回復温度に加熱すると元の形状に戻ります

合金成分によって回復温度は異なりますが、-10℃~100℃程度ですから、遠くからドライヤの風を当ててみてください。 ④と⑤を繰り返すと、形状記憶効果が確認できます。

さて、家庭での実験ですが

家庭で450~500℃の正確な温度は大変ですが、まず、水冷用の水を用意して、フライパン(テフロン製は温度に弱いのでダメ)をガスにかけて、(暗い部屋で赤くなれば600℃を超えている状態なので、そこから)徐々にガスを絞って鉄板の赤みが消えてさらに少し温度を下げた状態で蓋をします。

最初は購入した直線のまま実験してみてください。

形状記憶合金の製品を入れて3~5分間置いたのちに取り出して、水に入れます。

それを少し引っ張って伸ばした後にドライヤーを当てるか、お湯につけて元に戻ったら成功です。

回復温度を超えた高い温度に加熱してしまったり、変形が大きすぎると完全に元に戻らなくなるので、注意しながらいろいろな状況を試してみてください。

実験ですから、うまくいかなければ、再熱処理すればいいのですから … 。

温度が正確なほうがいいのですが、実験ですから、鉄製のフライパンなどをガスコンロでいろいろな温度に加熱するなどの試行錯誤でも、それなりの結果が得られますので興味のある方はトライしてみてください。